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同調率99%の少女(1) - 鎮守府Aの物語

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--- 8 幕間:裸の付き合い



 演習が終わり、五十鈴はペイント弾により体中ベトベト、那珂はそれなりに動いたので汗をかいていたのと、演習用プールに浸かったので身体の感覚が気になっていた。なので艦娘に対して認められた入渠と呼ばれる、休憩をとることにした。

 入渠には2種類の意味がある。艦娘が装備する艤装・兵装のメンテナンスという機械的な作業と、艦娘の心身のケアを図る運用だ。
 職業艦娘と呼ばれる艦娘以外は定期的な給与は出ない(出撃手当など、不定期・一時的な金は出る)ため、その分の艦娘のメリットとして、鎮守府内の施設の充実、あるいは鎮守府の置かれる町の地域の民間施設・商業施設との提携により、それらの施設で破格の優待を受けられるようになっている。
 大きな鎮守府では鎮守府内に入浴施設、商業施設、果ては美理容施設が整っているが、鎮守府Aはできたばかりでそのたぐいの施設はなく、当分はそういった施設が敷地内に作られる予定もない。
 これから那珂たちが行こうとしている施設は、艦娘なら無料で入れる優待がある。

「ねぇねぇ五十鈴ちゃん。近くのスーパー銭湯行こうよ。確か線路挟んだ駅の向こう側にあるはずだよ。」と那珂。
「行きたいのはやまやまなんだけど……あたしペンキがべっとりなんだけど!このまま町中歩くのは勘弁よ!」
 誘っておいてなんだがそりゃそうだ、と那珂は頷いた。

 その様子を見かねて提督が言った。
「五十鈴、せめて工廠の中の特殊洗浄水で洗い流してから出かけなさい。」
 ペイント弾を扱う以上は最低限、洗い流せる設備はあるのだ。

 そう言って提督は工廠を離れた。後ろには五月雨を始めとして時雨たちもついて本館へと戻っていった。工廠には(整備士を別として)那珂と五十鈴が残るかたちとなった。

「洗い流すの、手伝うよ?」と那珂。

 その後ペンキを洗い流し、外にでるのに恥ずかしくない程度の格好になった五十鈴は那珂と二人でスーパー銭湯に行く準備をした。その際、提督から五月雨たちも連れて行ってくれとお願いされたので、駆逐艦4人を連れて計6人編成でスーパー銭湯へと出撃していった。


--

 夕方に差し掛かろうとする時間の少し前、スーパー銭湯にはまだほとんど人がおらずほとんど6人の貸切状態と化していた。衣類を脱いで全員浴場に入る。

「あれ、凛花ちゃん?女同士なんだから隠さなくてもいいじゃない!」
 と、那美恵は凛花が前を隠すために胸元からたれかけていたタオルを剥ぎとった。
「!!!なにすんのよ! 返してよタオル!」
凛花は顔を真赤にして怒る。

 手ですぐ隠されてしまったが隠しきれてないそのボリュームに、負けた……と那美恵は心のなかで舌打ちをした。
 そんな那美恵は前を隠そうともしない。一方で皐たちは全員隠したまま。さすがに中学生には羞恥心もあって酷かと思い、那美恵は彼女らのタオルは剥ぎ取ろうとはしなかった。

 身体を洗ったり湯に浸かり、会話をする。

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 そのスーパー銭湯は4〜5種類のお風呂があり、那美恵たちはそれぞれ湯に浸かっている。たまたま那美恵は移動した先の湯に、夕立こと立川夕音が一人で入っていて二人っきりになった。
 那美恵も夕音も普段はストレートヘアで肩の下、二の腕の中間付近まで長い。二人とも頭上で束ねてタオルでくるんで縛ったり、専用の髪留めをして湯に浸かる。
 ふと、那美恵は以前夕音がオシャレしたいと言っていたのを思い出したので、それについて話してみた。

「そういやさ、夕音ちゃん。」
「はい?」
「この前オシャレしたいって言ってたよね?もしするとしたらどのへん?今イメージあるのかな?」

 那美恵がそう尋ねると、夕音はタオルでくるんだ髪が崩れないように抑えながら頭を左右に揺らした後、こう答えた。
「んーとね?服でもいいんだけど、別の服着てくるとね、出撃するときにそのお洋服破けたら補償しなくちゃっていけないからって提督にいちいち言わなきゃいけないんです。そーいうの面倒っぽいから、やるとしたらヘアスタイルにしよっかなって思ってるの。」
「髪型かぁ〜夕音ちゃんはどんな髪型にしたい?」
「んー。ストレートはそのままにしたいかなって。」
「ストレートはそのまま? そーなるとワンポイントつけるくらい?」
 那美恵がそう言うと、夕音はタオルで包まれた髪を端から少し引っ張り出し、那美恵に髪型のイメージを伝える。

「前か横髪をね、なんかこう……ピンっとハネさせたら変わってて面白いっぽい?」
 那美恵はふぅん、と相槌を打った。すると夕音が那美恵に聞き返してきた。
「那珂さんはあたしやさみより短めだけど、そのままストレートにするんですか?」
「え?あ〜。考えたことなかったなぁ。」
 那美恵は髪留めで湯より上にある自身の髪をところどころひっぱったりかき分けたりする。その様子をじーっと夕音は眺めている。するとなにか思いついたような表情になり、那美恵に近づいて密着してきた。


「那珂さん最初に制服着てきたときさ!アイドルっぽかったから、アイドルっぽいヘアスタイルにしてみたらどーですか?ストレートより絶対よさ気っぽい!」
「……そっか。何も普段の髪型で艦娘やる必要なんてないんだよねぇ?」
「そーそー。せっかくあたしたちすごいことやれるんだし、普段とは違うオシャレして艦娘やりたい〜」
 夕音からの意外な提案に、まったく考慮に入れていなかった艦娘としての姿を考え始める那美恵。

「うーんそうだね〜。髪型でいい案あったら今度教えて。夕音ちゃんたちくらいの若い子の流行知りたいし〜。」
 那美恵が最後に茶化すように言うと、夕音もそれに乗った。
「うん!例えばポニテとかお団子ヘアとかウェーブとか、那珂さんの髪の量なら大丈夫っぽい? その時は那珂さんたち高校生のヘアスタイルやファッションも教えて!」

 ところで近づかれたとき那美恵は気づいたが、この立川夕音、五十嵐凛花より劣るが、胸のボリュームが中学生4人の間じゃ一番、そしてもしかしなくても那美恵自身よりでかい。肉付きも程よい。
 この娘、栄養全部胸に行ってるんじゃねーのと、どうでもいい感想を那美恵はひそかに抱くのであった。