初音ミクと僕の終焉
僕が眠りから目を覚ますと、そこは知らない都会であった。
いや、僕は田舎住なので多分都会のことがわかってないだけであろう。
そうだな…。多分ここは秋葉原。僕は今、秋葉原にいる。
その時点で僕はこの世界が夢であることが理解できた。
『夢』だから僕は勢いよくベットから起き上がり、何も着替えず、
そのまま秋葉原の街を探索した。
そういえば、お父さんと一回だけ来たことがあった。
僕は初めにAKB劇場に向かった。
お父さんはすごくAKBヲタで、確か、りっちゃんが好きだった。
僕もりっちゃんはすっごく好きだった。だから卒業を知った時、泣いたなぁ…。
次に…、次に…。
あっ…。秋葉原はAKB劇場とゲーセンしか回ってなかったなぁ…。
あとは大きいポスター…。確か―――――。
ふと足を止め横を見た。すると今はなしていた大きいポスター。
でもそのポスターには違和感があった。
――あれ…?こんなポスターだったっけ?――
緑色の髪の毛…。うん、そうだった。
でも、髪の毛って短かったっけ?
『あっ!GUMIのポスターだ!』
『やっぱVOCALOIDっていったらGUMIだよねっ』
――そうだっけ?――
僕は確かにGUMIが一番好きだ。
IAとかも好きだけどVOCALOIDといったらGUMIであろう。
……うん。そうだよ。決して『彼女』ではないよ。
………『彼女』とは何のことだろう?わからない…ワカラナイ。
少し頭痛がし始めた。僕は考えるのを止めて歩き始めた。
でもそれを拒むように、晴天だったはずの空が大荒れになっていた。
まるで『忘れないで』といってるような…。
僕はそばにあった傘をさす。それと同時に雨が降り始める。
危機一髪だ。ぬれずに済んだ。
そりゃそうだ、だってこれは夢だから。
さぁ、歩き始めよう。『過去は捨てて』、『彼女は捨てて』。
また何かが僕を阻む。ったくなんなんだよ。
僕は家に帰ってGUMIの新曲が聞きたいんだ。
そんななか、僕を阻んだのは女の子だった。
緑色の髪、二つに結わいた長い髪。
その子の眼に、僕は魅かれた。
その子は泣きそうな笑顔で僕の手を掴み、走り始めた。
なぜか…、僕はこの子を知っていた。
誰だろう?まったく覚えがない…。
その子はCDが山積みになった廃墟に僕を連れて行った。
こんなとこで何がしたいのか、僕にはわからなかった。
――ねぇ、君は誰?――
僕がそう聞くと彼女はCDの山に指をさす。
…喋れないのかな?と思いながら僕はCDの山に近づく。
――初音ミクの消失――
初音ミクと書かれたCDが山積みになっていた。
初音ミク…。そんな言葉は聞いたことなかった。
『お願い、忘れないで…―――。
ボクのコト、忘、レナイ…デ』
なんていいながら僕の袖をつかむ。
嫌だ、気持ち悪い、もう、僕は、君なんか…。
――君なんか、もうオワコンだろ!?ニコ動に現れるなよ!!――
その時、やっとわかった。