辰馬×高杉
台風が増える季節。
今日も朝からずっと雨だ。
風も強い。
暫くは停留しておくしかないだろう。
…嵐っつーもんは何でこう前触れなくやってくるのだろうか。
そう、
例えば今みたいに……。
――――――――――
―――――
辰「こりゃ台風直撃かのう。参った参った。アハハハ!」
高「…で、何でてめぇがここに居るんだ」
辰「つれないのう高杉。友達が遊びに来ただけじゃなかか!」
高「や…ココは俺の船なんだが…」
辰「細かいことは気にするな!飲め飲め!アハハハ!」
高「……頭が痛ぇ」
辰「なんじゃ高杉、もう酔うたんか?なっさけないのお!!!」
高杉「……」
高杉は盛大に溜め息をつく。
時を遡ること数刻前…。
自室に居た高杉の元へ万斉がやって来てこう言った。
万「晋助、少しいいか」
高「万斉か。…何だ?」
万「客人が……来ておる」
高「客?今日は予定が入っていたか?」
万「いや…商売の相手と言うわけではないのだが…」
高「珍しく歯切れが悪いな。…誰が来た」
万「それが……」
すると遠くから声が聞こえた。
騒がしく、声だけは人一倍デカイ奴の声が…。
高「…押し帰せ」
万「拙者もそうしたいところなのだが、止めるどころかズカズカ入ってきてしまって他の隊員達も困っているでござる…」
高「鬼兵隊ともあろう者が客一人止められねぇとは笑い話にもならねぇぞ万斉」
万「…では本当に帰してよいのだな?力ずくでも帰っていただく事もできるが」
高「……」
返事を躊躇った俺が悪かった。
辰「おぉー高杉!こげな所におったんか!探したぜよ!」
…客人が勝手に俺の部屋に入ってきた――――――。
万「坂本殿…客間で大人しくしていてくれなければ困るでござる。この通り晋助は貴殿に会うつもりは…」
高「もういい万斉。後は俺が適当に相手をする」
呆れながら言う高杉を物珍しそうに見ながらも引き下がる万斉。
万「何かあれば呼んでくれ。では坂本殿、ごゆっくり」
辰「おぉー!悪いのう!」
こうして文字通り嵐のようにやって来たのが坂本辰馬であった。
――――――――――――
――――
既に自分の部屋のように馴染んでいるコイツは本当に何をしに来たんだ。
高「おい。…何が目的だ」
辰「そげな怖い顔しちゃいかんぜよ~」
高「いい加減要件を言え」
辰「…用がないと来ちゃいかんのか?」
……っ!
こいつは相変わらず急に雰囲気が変わるんだな…。
高「別に…そう言うわけじゃないが…」
俺は昔からコイツのこう言う所が苦手だ…。
サングラス越しに見える瞳。
何もかも見透かしていそうなこの感じ。
俺の薄汚ぇ獣まで見られていそうでいい気分はしない。
辰「わしゃさっき言った通り、友達に会いに来ただけじゃよ」
こうやって時々見せる顔。
…認めるのはしゃくだが、大人びた顔をしやがる。
それも…苦手だ。
高「友達…ねぇ。そんな風に言ってくるのはお前さんくらいだ」
辰「そんなことないきに。過去がどうであれ、今がどうであれ、おまんはわしの自慢の友達ぜよ!」
ニカッと満面の笑みで言う辰馬。
辰「あいつらもそう思ってるぜよ」
高「……っ」
んなはずねぇよ。
そんな事を思っていると頭に軽い衝撃が走る
高「…なんだ、この手は」
辰「んー?なでなでしてるんじゃよ~~♪」
物凄い上機嫌で俺の頭を撫でてくる…
高「酔ってるのか辰馬」
辰「酔ってないぜよ!おまんはまっこと可愛いやっちゃのおと思うてな」
高「そりゃありがたい話だ」
辰「おまんはちくと素直じゃないだけじゃ。わしゃ分かっちゅうよ~」
高「あぁそうかい…」
頭を撫でられながら飲む酒ってのは何年振りだろう。
それこそ、あの戦争中以来じゃないか?
そう考えると悪い気分にはならなかった。
それどころか自然と笑みがこぼれる。
高「お前に撫でられるのは嫌いじゃなかった」
気が付くとそんなことを口走っていた。
辰馬は一瞬目を見開いたがすぐにいつもの調子に戻り
辰「なんじゃあ~やっぱり酔ったんか~?」
高「…そうかもな。酒の席の戯言だ、気にするな」
多くを語るわけでもなく、ただただ今を楽しむ。
いつの間にか二人の間には穏やかな時間が流れていた―――――。
今日も朝からずっと雨だ。
風も強い。
暫くは停留しておくしかないだろう。
…嵐っつーもんは何でこう前触れなくやってくるのだろうか。
そう、
例えば今みたいに……。
――――――――――
―――――
辰「こりゃ台風直撃かのう。参った参った。アハハハ!」
高「…で、何でてめぇがここに居るんだ」
辰「つれないのう高杉。友達が遊びに来ただけじゃなかか!」
高「や…ココは俺の船なんだが…」
辰「細かいことは気にするな!飲め飲め!アハハハ!」
高「……頭が痛ぇ」
辰「なんじゃ高杉、もう酔うたんか?なっさけないのお!!!」
高杉「……」
高杉は盛大に溜め息をつく。
時を遡ること数刻前…。
自室に居た高杉の元へ万斉がやって来てこう言った。
万「晋助、少しいいか」
高「万斉か。…何だ?」
万「客人が……来ておる」
高「客?今日は予定が入っていたか?」
万「いや…商売の相手と言うわけではないのだが…」
高「珍しく歯切れが悪いな。…誰が来た」
万「それが……」
すると遠くから声が聞こえた。
騒がしく、声だけは人一倍デカイ奴の声が…。
高「…押し帰せ」
万「拙者もそうしたいところなのだが、止めるどころかズカズカ入ってきてしまって他の隊員達も困っているでござる…」
高「鬼兵隊ともあろう者が客一人止められねぇとは笑い話にもならねぇぞ万斉」
万「…では本当に帰してよいのだな?力ずくでも帰っていただく事もできるが」
高「……」
返事を躊躇った俺が悪かった。
辰「おぉー高杉!こげな所におったんか!探したぜよ!」
…客人が勝手に俺の部屋に入ってきた――――――。
万「坂本殿…客間で大人しくしていてくれなければ困るでござる。この通り晋助は貴殿に会うつもりは…」
高「もういい万斉。後は俺が適当に相手をする」
呆れながら言う高杉を物珍しそうに見ながらも引き下がる万斉。
万「何かあれば呼んでくれ。では坂本殿、ごゆっくり」
辰「おぉー!悪いのう!」
こうして文字通り嵐のようにやって来たのが坂本辰馬であった。
――――――――――――
――――
既に自分の部屋のように馴染んでいるコイツは本当に何をしに来たんだ。
高「おい。…何が目的だ」
辰「そげな怖い顔しちゃいかんぜよ~」
高「いい加減要件を言え」
辰「…用がないと来ちゃいかんのか?」
……っ!
こいつは相変わらず急に雰囲気が変わるんだな…。
高「別に…そう言うわけじゃないが…」
俺は昔からコイツのこう言う所が苦手だ…。
サングラス越しに見える瞳。
何もかも見透かしていそうなこの感じ。
俺の薄汚ぇ獣まで見られていそうでいい気分はしない。
辰「わしゃさっき言った通り、友達に会いに来ただけじゃよ」
こうやって時々見せる顔。
…認めるのはしゃくだが、大人びた顔をしやがる。
それも…苦手だ。
高「友達…ねぇ。そんな風に言ってくるのはお前さんくらいだ」
辰「そんなことないきに。過去がどうであれ、今がどうであれ、おまんはわしの自慢の友達ぜよ!」
ニカッと満面の笑みで言う辰馬。
辰「あいつらもそう思ってるぜよ」
高「……っ」
んなはずねぇよ。
そんな事を思っていると頭に軽い衝撃が走る
高「…なんだ、この手は」
辰「んー?なでなでしてるんじゃよ~~♪」
物凄い上機嫌で俺の頭を撫でてくる…
高「酔ってるのか辰馬」
辰「酔ってないぜよ!おまんはまっこと可愛いやっちゃのおと思うてな」
高「そりゃありがたい話だ」
辰「おまんはちくと素直じゃないだけじゃ。わしゃ分かっちゅうよ~」
高「あぁそうかい…」
頭を撫でられながら飲む酒ってのは何年振りだろう。
それこそ、あの戦争中以来じゃないか?
そう考えると悪い気分にはならなかった。
それどころか自然と笑みがこぼれる。
高「お前に撫でられるのは嫌いじゃなかった」
気が付くとそんなことを口走っていた。
辰馬は一瞬目を見開いたがすぐにいつもの調子に戻り
辰「なんじゃあ~やっぱり酔ったんか~?」
高「…そうかもな。酒の席の戯言だ、気にするな」
多くを語るわけでもなく、ただただ今を楽しむ。
いつの間にか二人の間には穏やかな時間が流れていた―――――。