辰馬×高杉
嵐もおさまり日が昇って来た頃、辰馬が目を覚ます。
辰「ん…。なんじゃ…もう朝かえ…」
ふと横を見れば自分の腕枕でぐっすり寝ている高杉の姿。
辰「結局わしの腕枕で寝てるじゃなかか。…こげな穏やかな顔、久々に見たのう」
そう言いながら自然に高杉の頭を撫でる
辰「それにしても…昨夜はちくと無理させ過ぎたかの…。すまんのう、晋助。じゃがここまで疲れさせんと、おんしはちゃんと寝ないきに。…たまにはぐっすり寝た方がええ」
高「……ん…」
辰「…起きたか?」
高「た…つ、ま…」
辰「大丈夫。ここに居るぜよ、晋助」
先程よりも強く抱き寄せ、安心させるように額にキスを落とす
高「…………――――――」
高杉は再び寝入ってしまったが、辰馬は顔を赤くしていた
何故なら、高杉は寝入る直前に寝言のように呟いた言葉があったからだ。
辰「……っ。こいつは…参ったのう……。しかも言い逃げかえ…?この状況でそげなこと言われたらまた昨夜みたいにしてしまうぜよ……」
腕のなかで安心しきって寝ている高杉を見ながら理性を保とうとする辰馬
辰「……わしも。好きじゃよ、晋助」
唇に軽く口づけると辰馬も再び夢路へと誘われた。
――――――――――――……
陽が高くなっても起きてこない高杉達を心配したのか、万斉は高杉の部屋の前まで来ていた。
万「坂本殿が一緒なら大丈夫だとは思うが……この時間まで起きてこないのは流石に心配でござる。…………晋助、坂本殿、…失礼するぞ」
万斉が襖を開けると目に入ってきた光景は、信じがたいものだった。
いつも刀を手離さない高杉が、刀を手放して更に横になって寝ているではないか。……それも、辰馬の腕枕で………。
万斉が入ってきた事にも気付かず寝ている事にも驚いた。
いつもなら部屋に入る前に気配を覚られてしまうというのに。
万「…拙者が刺客だったらどうするつもりでござるか……。全く。しっかりしてくだされ、坂本殿」
そう言い襖を閉めて来た道を戻る万斉。
心なしか、その顔は喜んでいるようだった。
万「晋助があのように寝られるのも坂本殿が居てくれたお陰であろう。今回だけは、坂本殿に感謝せねばならぬな」
起きてくるまでまだ時間がかかるだろう。
…―――というか、起きてくるのだろうか?
暫くは戯れていそうな気するでござる…。
拙者が…晋助の分の仕事もせねばなるまいな……。
そんなことを思いながら仕事に戻る万斉であった。
END