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はろ☆どき
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踊る東方司令部(怪)【夏コミC88新刊】

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「合図をしたら錬成してくれ、鋼の」
「何、を?」
 いつにも増して意味が通じないのは、オレの脳が溶けているせいじゃないと思う。
「下に抜けられるなら何でも構わん。ここから脱出だ」
 おいおいおい! いきなりかよ!
 しかし扉の向こうでは、何やら意を決したような気配がする。考えている間はないらしい。
「今だ……!」
 大佐が合図して指を窓に向けてぱちりと鳴らしたのと、オレが両手を床について錬成したのと、バタン! と扉に体当たりしたような音がしたのはほぼ同時だった。『だ、誰かいるのかっ?』と叫ぶ声が聞こえたような気もする。
 咄嗟に床に穴を開けたうえに、スロープ状に錬成して無事下の階に着地した自分を褒めてやりたい。もちろん、執務室に飛び込んできた奴に見つからないよう、速やかに原状復帰した。



 その後、執務室から人の気配がなくなると、懲りずに纏わりついてくる大佐を蹴り飛ばし、オレは猛ダッシュで司令部を抜けて宿へ戻った。
 日付はとっくに越えていて、恐る恐る部屋のドアを開けると仁王立ちしたアルが待ち構えていた。だよな……。
当然こっぴどく叱られた。
「こんな夜中にどこをほっつき歩いてたのさ」
そう言われて何も答えられない時点で、兄の威厳などまるでない。
 それが後に弟どころかあの面々に面白おかしくネタにされた挙げ句、あんな恐ろしいことになるなんて。その時のオレは思いもせずに、熱帯夜と弟の怒りに触れてだらだらと汗を垂らしていたのだった。



「真実の裏の裏」より抜粋