もしも獅子尾エンドだったら (2)
「せ、先生?!」
ドクン、ドクン、ドクン、と
心臓が大きく跳ね上がる。
「これは許容範囲…だろ?」
「えっ…と、学校じゃないし、
私はいいんですけど…」
自分の体がおかしい。
心臓の音が家の外まで聞こえてる気がする。
でも自分の心臓だと思っていた音は、
獅子尾の胸の音だということに
すずめは気づいた。
先生が同じくらいドキドキしてくれている。
先生が同じ気持ちでいてくれる。
それだけでもう信じられる。
待てないわけがない、とすずめは思った。
「すずめ…口と目、閉じて?」
「先生…?///」
「これで…卒業まで我慢するから。」
「ぶ…何ですか、それ。」
クククとすずめが笑うのと同時に
獅子尾の顔が近づいてきた。
すずめはギュッと目と口を閉じた。
すると獅子尾はすずめのまぶたの上に
キスを落として、すぐ唇を離した。
「?」
「力いっぱい閉じすぎ。軽くでいいよ。」
「え、あ///…」
またすずめの顔がカァァァと赤くなった。
獅子尾は間髪を入れずに、
軽く唇を合わせた。
名残を惜しむように、ゆっくりと唇を離した。
体の力が入らない。
ガクンとなりかけたところで、
バン、と獅子尾に軽く目を塞がれた。
「そんな目で見ない。」
「えっ…目?」
「続きしたくなる。」
「は?////」
そう言って体を離された。
「送っていけないけど、1人で帰れる?」
「あ、はい。大丈夫です。」
「今から卒業までは
教師と生徒だから。約束な?」
「ふ…わかりました。じゃあ…」
「気をつけて帰れよ。」
玄関まで見送られ、
すずめは獅子尾のアパートを後にした。
すずめが出ていった後の部屋で、
獅子尾は、「ヤバかった…」と呟いた。
作品名:もしも獅子尾エンドだったら (2) 作家名:りんりん