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もしも獅子尾エンドだったら (4)

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「獅子尾先生~」

「お前ら、もうすぐ授業始まるから。
 ほら、教室入れ、入れ~。」

朝、職員室の前をたまたま通ったら、
獅子尾の声が聞こえた。

たまたま…とはいうけれど、
なんだかんだと、偶然にでも会えないかと
毎日すずめは職員室周辺で
ウロウロしてしまう。

「ほら、与謝野も。授業始まるぞ。」

ポン、と頭を軽く叩かれ、
(また後でメールするから。)
と、獅子尾は耳元で小さく囁いた。

すずめは頬を少し染め、
「はい…///」と返事をした。

「あっ、ずるい!
 私も頭ポンポンしてぇ。」

3年の女子が言うのを横目でつい見てしまう。

「は?!何言ってんだ。
 バカなこと言ってないで
 早く入んなさい。」

そう言って獅子尾は女生徒を軽くあしらい、
すずめのほうをチラっと見て、
手と口で「早くいけ」とジェスチャーをした。

すずめもジェスチャーで「行きます」と返した。

こんなどうでもいいことにドキドキする。

顔をちょっと赤らめながらすずめが教室に帰ると、
そこには馬村がいた。

馬村は後ろの席だった。

以前はすずめが顔を赤らめていると
不機嫌な顔をしていたものだが、
あれからこちらに関心がないような態度をしていた。

それはそれで寂しいな、と思う自分の頬を
すずめはバチンと、両手で叩いた。

ヒリヒリと赤くなった頬を押さえていると

「何やってんだよ。」

と、後ろからボソッと聞こえた。


元の友達に戻りたい、と贅沢なことは
思ってはいけない、と思いつつも、
馬村の久しぶりの憎まれ口が
すずめは嬉しかった。