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もしも獅子尾エンドだったら (4)

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『今日は定時で帰れそう。
 アパートの近くで待ってて。』

放課後、獅子尾からメールが入っていた。

「え…いいのかな。」

言葉とは裏腹に心臓が高鳴る。

卒業までは2人で会わないんじゃなかったの?

でも会いたい。

そういう気持ちでグラグラする。

ただ、馬村と帰ったみたいには
獅子尾とは一緒には帰れない。

別々に帰ってすずめは着替え、
獅子尾のアパートの近くのコンビニで
雑誌を立ち読みして待つ。

『帰ったからウチ来て。』

そうメールが来て、人目を忍んで
アパートに行こうとしたが、
ふと、忍ばなければいけない関係なんだ、
ということにすずめは胸が痛んだ。

馬村や諭吉、ゆゆかにも
心配をかけている。

もしこれがバレて怪しまれれば
立場が悪くなるのは獅子尾だ。

『やっぱり行けません。
 卒業するまではアパートには行きません。』

すずめは躊躇いつつ、そう返信した。

返信してすぐ、ピリリリッと電話が鳴った。

「すぐ近くにいる?」

「はい…会いたい…けど、
 何があるかわからないし…」

「……わかった。オレがそう言ったんだもんな。」

「でも会いたいってこと、忘れないでください。」

「わかってるよ。オレも同じだから。
 ごめんな?苦しませて。」

「!苦しんでなんかないです。」

「そうだ!これ我慢したら美味しいものが
 食べられるって思えばいいじゃないですか!」

「ゴホッ」

獅子尾は吸っていたタバコの煙を
思い切り吸い込んでむせてしまった。

「私、小さい頃、母ちゃんからピーマン食べないと
 魚食べさせないって言われて、
 いつもこれ我慢したら好きなものが
 思い切り食べられるって思って
 乗り切ってましたよ?」

「…(会うのを)我慢すれば
 (すずめを)食べられるって?!」

自分がとんでもないこと言ってるって
気づいてないんだろうなぁ、と
獅子尾は苦笑いしつつ、

それはまぁその通りだと、
その先にある幸せを思い描き、
今すぐ自分の腕に抱き寄せたいのを
我慢することにした。

「でもあと一年か…」

「あの…もう嫌になりました?」

「え?まさか。
 でも1年後、覚悟してなさいね?キミ。」

「は?///えっ…」

我慢した分、自分を抑える自信がないので、
獅子尾は今のうちから宣言した。