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帰る場所

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辰「はぁ…はぁ……、銀時、大丈夫かえ…?森は抜けたぜよ、もう大丈夫じゃ…っ」


出血もだいぶ止まって来た。この分ならもう緊急性はないが早く布団に寝かした方が良いのは確かだ。
しかし残してきた二人の事も気になる。




辰「…ちゃんと、4人で帰るぜよ」



背中に銀時の重みを感じながら二人を信じ先へ進み始めた。







――――――――――――
――――――
―――




あ……れ…?

俺、どうしたんだっけ……。

確か…倒れて…


……揺れてる…?

おぶられてるのか…?

誰に……


……先生…?



そういや昔よくおぶってもらったっけ…



この広くてでっかい背中が好きだったな……




銀「…せん…せい……」


辰「銀時…?目が覚めたか?」


銀「……?」


辰「銀時、ここがわかるかえ?」


銀「辰馬…?…あ、れ…なんでお前に…おぶられてるんだ……?」


辰「みんなでおまんの事助けに来たんじゃよ」


銀「って事は…俺の隊の奴らは無事帰還できたんだな…」


辰「ああ、じゃからこうして探しに来れたんじゃ」


銀「あー……そういえば…襲われそうになったお前を…助けたような…」


辰「あ…あははは……それは忘れていいきに…。…体は大丈夫か?」


銀「…まだちょっと…目が霞んでる…体は多分…大丈夫…」


辰「ほうか…、まっこと心配したぜよ…」


銀「俺…帰る場所…分からなくなって…夢中で戦って……それで…」


辰「何言ってるんじゃ。おまんの帰る場所はここじゃろ」


銀「…ここ?」


辰「わしと桂と高杉。…わしらの所に帰ってくるんじゃ」


銀「お前らの所…?」


辰「そうじゃ、あたりまえじゃろ。じゃなかったら迎えになんぞいかん」


銀「そっか…。迎えに…来てくれたのか…。ありがとうな、辰馬…」


辰「おまんが迷ったときはわしが助ける。おまんがいつも、わしを守ってくれるようにな。それに、わしだけじゃのうて、あいつらも一緒じゃ。ヅラも冷静沈着に見えて銀時の事となると簡単に頭に血上るぜよ。高杉なんて”銀時銀時”と……。あいつは銀時の事となるといっつも…」






桂「坂本ーー…!」


高「銀時……!」




辰「・・ほら、噂をすれば、じゃ。…どうやら無事追い付いたらしいの」



桂「まだこんな所に居たのか!?なにをのんびりしておる!!」


高「おい銀時!大丈夫か!?…辰馬、てめぇ斬られる覚悟はできたか」



辰「おーおーおーちょ…待ちいな、大丈夫じゃ!」


桂「何が大丈夫だ!けが人をおぶっているというのに!」


高「さっさと陣まで運んでちゃんと治療しねぇと…銀時が…!!」


辰「じゃから、おまんら落ち着け、話を…っ」




銀「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーやかましいんだよ…発情期かコノヤロー……」




桂「目が覚めたのか…!?」


高「銀時!しゃべって大丈夫なのか…!?」


銀「あんま大丈夫じゃねぇよ…だから騒ぐな…うるせぇ…」


桂「なぜいつもお前は一人で無理をするんだ!何故俺たちを頼らない!」


銀「けが人に説教か…。でもまあ…、悪かったよ」


高「帰ったら3人で説教だからな。さっさと帰るぞ…馬鹿銀時。おい辰馬、もっと急がねえと」


銀「いや…、ゆっくり帰ろうぜ」


桂「しかしお前体が…」


銀「ゆっくり帰りてぇ気分なんだよ」


高「なんだよ…それ」


辰「ならゆっくり歩いて帰ろうかの。…4人でな」


銀「あぁ……。あー…でも、辰馬、大丈夫か?俺の事おぶってると疲れねぇ…?」


辰「大丈夫じゃよ、安心しておぶさってればいいきに」


高「なんだったら俺が…」


銀「お前はチビだから無理だろ」


高「あああ!?」


桂「…ッフ」


辰「……アハハッ」


高「人が心配してるってのに…しかもてめぇらまで…!」



今にもキレだしそうな高杉の頭にポンと手が乗せられた。



銀「冗談だよ。…ありがとうな、高杉。心配かけてごめん」


高「な……、んだ、よ……。心配ぐらい…当たり前だろ…」


銀「ヅラも、ありがとうな。陣の守りを手薄にしちまって悪い」


桂「…俺たちにとってお前は、それだけ大切な存在なんだ。仲間を死なせたくないのは分かるが、もしお前が居なくなったら…それこそ俺たちは狂ってしまう。だから銀時。頼むから無茶ばかりしないでくれ」


銀「ああ………、わかったよ」



そんな話をしていると陣が見えてきた。



辰「陣が見えてきたぜよ。銀時、もう少しの辛抱じゃ」


桂「なら俺は先に行って救護班の手配をしてくる。待っててくれ、銀時」


高「俺は銀時の部屋を整えてくる。勝手に入るからな、銀時」


銀「あぁ…悪いな」




二人が走り去ったのを確認してから、まだハッキリしない意識のまま辰馬に問う。



銀「………で?」


辰「何がじゃ?」


銀「ヅラと高杉は告白まがいな事言ってくれたけど、辰馬は何も言ってくれないワケ…?」


辰「そう…じゃなあ…」


ザク、ザク、と歩いていた足を止め暫く考えてから言う


辰「わしも…あいつらと同じように銀時が大事じゃよ。こうやっておまんを背負う役目を譲りたくないほどに」


銀「え…あー……そ、うなんだ…」


辰「じゃがわしも人の事言えないくらい、おまんの事となると周りが見えんくなる。今回は無事じゃったからええが、今後も同じことが起こるなら、わしはおまんを閉じ込めてしまいたい。ずっとわしの目の届くところにおってほしい。それが駄目なら、今このまま帰らんで、おまんを戦のない所まで連れ去ってもええ。おまんの帰る場所はわしの所だけでええ。………そげな事を考えるほど、おまんに惚れちょるよ」


銀「…………」


辰「なんじゃ、なんか言うてみ。おまんが聞いた事ぜよ?」


銀「その……なんつうか………嬉しいとか恥ずかしいとかっていう以前に……辰馬、…怒ってる?」


辰「今更気づいたんか?」


銀「あの…本当にごめんなさい……」


辰「大丈夫じゃよ。銀時は言っても聞かんきに、体に分からせるぜよ」


銀「あー………意識失え俺…今すぐ…」


辰「まあ、今言ったのは本心じゃ。嘘偽りないぜよ」


銀「………ありがとな」


辰「そのうち返事聞かせてもらうき、そのつもりで居ちょくれ」


銀「…あぁ」


辰「さて、そろそろ準備もできたじゃろ、帰るぜよ、皆の所へ」







銀時の返事なんて最初から決まっている。



再び歩き出した辰馬の背中で目を閉じ、ゆっくりと揺られながら

皆が待つ場所へ帰って行った――――。


























END
作品名:帰る場所 作家名:棗-なつめ-