帰る場所
3人がバラバラに森に入って暫くたったが銀時は見つからない
桂「く……あそこにも敵が居るな。これは避けて通れぬか…っ」
桂は複数の敵を見つけてしまった。
桂「この程度の数なら…」
本来なら戦ってる暇など無いのだが…
桂「銀時、無事で居てくれ」
そう呟くと敵へと斬りこみに行った…――。
――――――――――――
――――――
―――
はぁ…はぁ…っ
これじゃきりがねぇか…っ
高「どこに居るんだよ…!」
ここにたどり着くまで数回戦ったが雑魚ばかりだった。
…とはいえ、もし倒れてるなら一発でやられるぞ…っ
高「…銀時!どこだ…!!!!」
今見える範囲にそれらしい人物は見当たらない。
高「くそ…!」
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――――――
―――
辰「なんじゃ…思ったより敵がおらんの…。これなら検索に集中できるぜよ」
辰馬が探している場所は運よく敵が少なかった。
辰「…ん?血…?」
そこには血を引きずったような跡がついていた。
よく見れば周りの木にも血痕が付いている。
そして地面には血の道をたどるように天人であろう足跡もあった…。
辰「ま、さか…っ、銀時……!」
血痕の後を後を辿っていくと大きな影が何かを振り下ろすところだった
辰「させるか…!!!」
辰馬は持っていた刀を投げつけ、命中したのもつかの間もう一本の短刀で斬りつけた
辰「こいつだけは殺らせないぜよ」
敵が倒れたのを確認しすぐに向き直すとそこには荒い呼吸を繰り返す銀時が居た。
真っ白な髪も服も血に染まり、今にも消えてしまいそうな白夜叉の姿が…―――。
辰「銀時…!!!銀時!しっかりせぇ!」
いくら声をかけても荒い呼吸しか返ってこない
辰「待っとれ、絶対助けるきに…っ」
懐から花火を取り出し打ちあげる
辰「頼む…」
一瞬だけ空に祈りをささげ直ぐに銀時の手当てに入る。
それは今まで戦で様々な傷を見てきた辰馬でさえ息を飲むものだった…――――。
辰「銀時、今手当てするきに…っ」
今ここでできる最大の手当てを行う辰馬。
辰「おんしはまっこと馬鹿じゃ…っ、こげんなるまで戦いおって…!帰ったらきつう叱らなにゃいけんの」
兎に角銀時に話しかけながら手当てをする。
少々荒っぽい手当てをしているが呻き声も出せない状態らしい。
辰「痛かったら痛いって言うてみぃ…っ、銀時…っ!」
――――――――――――
――――――
―――
誰か、が…呼んでる…?
誰が…、呼んでる…?
誰が……
辰「銀時…っ!!!」
銀「う………ぁ……」
辰「銀時!?」
た…つま…?
なんで、ここに……
あ……れは………!?
辰「しっかりせぇ銀時!」
銀「…つ、ま…………し、…ろ……っ」
辰「もうじきズラも高杉も来る!安心していいきに…!」
辰馬が銀時に近づいた瞬間、辰馬の背後のソレは動いた
先ほど辰馬がとどめを刺したと思われたソレはまだ息があり、辰馬に斬りかかろうとしていた。
それを見た銀時は動くはずもない体で刀を握り直しソレをひと突きした
銀「く…っ」
何が起きたか分からなかった辰馬は後ろで何かが倒れる気配を感じた。
銀「てめぇは…前ばかり、見てねぇで…後ろも…気にしろ…ドアホ……」
カシャンと力なく落ちた刀の音で我に返る辰馬
辰「す…まん…」
銀「………っ…」
辰「銀時…?…銀時!!!」
その会話を最後に銀時は再び意識を失った.
辰「助けに来たのに逆に助けられるとは情けないの…。どうもこいつが目の前におると冷静さにかけてしまう。わしも人の事言えないぜよ…」
先ほどより楽そうな息遣いに多少の安堵を覚えつつ、手当てを続ける。
桂「おー……い!坂本!」
高「辰馬…!」
振り向くと二人の姿が見えた
辰「こっちじゃ!!!」
桂「銀時は…!?」
高「おい!銀時!しっかりしろ!!!銀時!」
辰「待て待て高杉!今手当てしてるんじゃ、そげに揺らしたら傷口が…!」
桂「酷い有様だが、大丈夫なのだな…?」
辰「さっきちくと意識が戻ったき、傷は酷いが大丈夫ぜよ」
高「よか…た………っ」
桂「それにしても、ここにも天人が来たのだな…。俺も何度か戦った。手当てが終わり次第早急に立ち去った方がよさそうだ」
辰「わかっちゅう。もう少しだけ待っとおせ」
チャキ――――
それまで心配そうに銀時を見ていた高杉が急に刀に手をかけた
高「…敵さんのお出ましだ」
桂「なんだと…!?」
高「5…いや、10か…?」
桂「まだ居たか…」
辰「ならわしが相手をする。じゃからおんしら銀時を連れて…」
高「何言ってやがる。お前が手当てしねぇで誰がするんだ」
辰「高杉…?」
高「意識があるならともかく、意識のねぇこいつを背負えるのはお前だけだ」
桂「そう言う事だ。ここは俺たちが引き受ける。時間を稼ぐからその隙に銀時を背負って退け。森を抜ければ大丈夫だろう」
刀を抜きながら辰馬に背を向ける
高「いいか、辰馬。銀時にもしもの事があったら…お前を斬るからな」
辰「…わかった。任せておき。…おまんらも、ちゃんと帰ってくるんじゃぞ」
桂「俺らがこの程度の敵に後れをとるわけないであろう。……行くぞ、高杉」
高「あぁ……っ」
二人が走り出すのと同時に辰馬は素早く手当てを終え、銀時を背負って森の外を目指した――――。