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嘘と本当

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4月1日。
ボーダー玉狛支部としても早い朝の時間。
日本人には言わずと知れたエイプリルフールの日でもある。
「でも、正確には午前中しか嘘をついちゃいけないんだよ~」
宇佐美が遊真にエイプリルフールの作法をレクチャーする。
その場に居るのは、宇佐美と遊真、烏丸と修の4人である。
「ほうほう。でも、俺には関係ない日ではあるな」
「そう。だから、遊真くんは嘘をつく側の人ね」
宇佐美の言葉に遊真の瞳が一瞬、悪戯そうに輝く。
「ほう。して、嘘をつかれる側は?」
「ふふーん。それはね……」
宇佐美はズレを直した眼鏡をキラリと光らせニンマリと微笑むと、その場に居る皆の頭を引き寄せた。

昨夜のカレーの残りを食し、烏丸と修は訓練室へ、遊真と陽太郎は釣りへと向かう。
キッチンでは宇佐美と小南が洗い物をしている。
小南が洗い、宇佐美が手際良く拭いては片付けていた。
「小南」
ふと、宇佐美が片付けの手を止め、小南に向き直る。
その眼は真剣そのものであるが、洗い物の泡を見つめる小南には見えていない。
「んー? 何? ……え!? な、何!?」
宇佐美は小南の肩をガシッと掴むと強引に自分に向かせた。
小南は泡だらけの皿とスポンジを持ったまま、軽くパニックする。
「小南。ずっと言えなかったんだけど、真面目な話があるの。聞いて?」
「……え? あ、うん」
小南は宇佐美の言葉を素直に受け止める。
「あのね、アタシ、小南が好き」
「え? あ、ありがとう。あたしも栞は好きよ」
「そうじゃなくて!」
宇佐美は小南を強く引き寄せ、ギュッと抱きしめた。
「小南、愛してる」
「……え?」
小南が自分を見つめる宇佐美と視線を合わせると、心なしか彼女の頬が赤く染まっている。
釣られるように小南も赤くなる。
「……ごめん! 忘れて!」
呟くように言うと、宇佐美は小南に背を向け、キッチンから駆け出した。
「え? え? えーーーっっ!?」
泡だらけのスポンジを握りしめて、小南は完全にパニックに陥った。

小南がしばらく放心していると、訓練を切り上げたらしい烏丸がやって来た。
「小南先輩、何してるんですか? 床が泡まみれっすよ」
「え? あ、とりまる! 聞いて! ど~しよ~」
「どうしたんですか?」
泡だらけのスポンジを持ったまま近寄る小南を軽く抑えたまま、床を拭き、小南の手を洗い、洗い物の続きを代わり、洗い終わった食器を手渡しながら烏丸は聞いた。
小南はそれを受け取り、拭きながら、先程起きた出来事を話して聞かせる。
「宇佐美先輩が……困ったな……」
「そうなのよ~。女同士だし、あたし、そんなこと考えたこともなくて、とりまる、どうしよ~! ……って、ちょっと! 何であんたが困るのよ!」
俯き、考えこむように手を止めた烏丸に、小南が突っ込む。
烏丸は顔を上げ、小南を真っ直ぐに見つめると言った。
「俺も、小南先輩のことが好きだから」
「……!?」
小南の手から最後の洗い物のスプーンが落ちる。
「……え? ち、ちょっと待って、とりまるまで、何言ってんの!?」
「本気です」
「…………」
「本気です。俺は小南先輩が好きです」
「……!!」
ジッと見つめる烏丸の瞳からは何も読み取れない。
小南は場の空気にいたたまれなくなり、その場から逃げ出した。
後に残された烏丸は頭を掻くと、小南が落としていったスプーンを洗い直した。

キッチンから逃げ出した小南は、訓練室から出てきた修とぶつかった。
「あ、小南先輩。すいません。大丈夫ですか?」
「修! ちょっと聞いて! 大変なの!」
小南は顔を真っ赤にしたまま、修を捕まえると、応接室へと引きずって行った。
「え? ちょ、小南先輩!?」
慌てる修の反応に、小南は少し落ち着きを取り戻す。
小南は座るでもなく、腕を組み、動物園の熊の如く応接室内をウロウロしたまま修に、今しがたキッチンで起きた2つの告白の相談をする。
「宇佐美先輩と烏丸先輩が……」
「修、あんた、どー思う!?」
修相手だと何となく強気になれる気がする小南。
修は親身ながらも考えこむような、困ったような表情で応対している。
「どう、って、その……言っていいものかどうか……」
「言って」
実際は見上げている小南に、何となく見下ろされている気がしながら、修は深く息を吸い、吐くと言った。
「2人の気持ち、わかります」
「わかる、って……?」
小南は意表を突いた応えに、毒気を抜かれたようにキョトンとする。
「え……っと、その、僕も小南先輩が…………すいません!!」
俯き、顔を赤らめて言いかけたまま、修は脱兎の如く逃げ出した。
「………………え???」
残された小南が呆然と立ち尽くしていると、再びドアがカチャリと開いた。
「お、小南先輩。こんな所にいたか」
「今日は大量だぞー」
バケツいっぱいの魚を持った遊真と陽太郎だった。
「遊真! 今ね、宇佐美ととりまると修がね……」
陽太郎の耳を塞ぎながら、アワアワと喚き始める小南を面白そうに遊真は見つめた。
「ほうほう。小南先輩は3人から愛されて悩んでいる、と」
「ちょっと! そういうことわざわざ言わないでくれる!?」
顔を真っ赤にして小南は遊真にヘッドロックを掛ける。
「いやいや、じゃあさ、その小南を『愛してる』奴が更に増えたらどうする?」
遊真はヘッドロックを掛けられたまま、小南を仰ぎ見てニッと笑う。
「え……更にって」
「お、小南、こんな所に居たか」
小南のヘッドロックが緩んだ時、三度ドアが開き、レイジが入って来た。
そしてレイジに続き、慌てたように宇佐美と烏丸、修が姿を現した。
「レイジ……と、栞、とりまる、修……!?」
「レイジさん」
陽太郎はともかく、予定外の人物の登場に遊真の動きも止まる。
レイジはじゃれあっているようにしか見えない小南と遊真の状況に構うことなく小南に向き直ると言った。
「小南、付き合ってくれ」
「……え!?」
小南は遊真にヘッドロックを掛けたまま硬直する。
途端、遊真の瞳がキラリと光り、レイジが何か言おうとした瞬間、割りこむように言った。
「小南先輩、今日、小南先輩に話し掛けた人の中で、本当のことを言った人がいます。さて、誰でしょー」
「え? え? えーーーっっ!?」
宇佐美も遊真の意図を心得たように、ニンマリと笑う。
隣には相変わらず無表情の烏丸と、心配そうにハラハラ見守る修が並んでいる。
「今日は、どうやらエイプリールフールという日らしいな」
「!! だ、騙したのねーーー!!」
「全員じゃないぞ。ちゃんと本当のことを言っている奴もいる」
「……!」
先程までとは違う方向で顔を真っ赤にする小南にしれっとした顔で遊真が返す。
遊真のサイドエフェクトを知る小南として、その意味を考え、再び先程までと同じ意味で紅潮する。
その瞬間、レイジが小南に声を掛けた。
「お前らが何の話をしているかは知らんが、小南、早く付き合え。防衛任務だ」
「え? 防衛……任務……?」
キョトンとする小南を遊真から引き剥がし首根っこを掴むと、レイジはズルズルと小南を引きずって出て行った。
「あんた達、覚えてなさいよーーーーー!!」

「大・成・功~」
作品名:嘘と本当 作家名:坂本 晶