嘘と本当
廊下から響く小南の絶叫をしばらく聞いた後、宇佐美はさも楽し気に遊真とハイタッチを交わした。
「いやー、レイジさんの乱入は予想外だったけど、結果的に良い仕事してくれたね~」
「俺は結局嘘つけなかったけどな……でも、まあいいや」
「俺も、あれは嘘をついたっていうのか微妙だけど……」
少しだけつまらなそうに遊真が言うと、困惑気味に修も言った。
「じゃあ、ちゃんとエイプリールフールを実行したのは、アタシととりまるくんだけかぁ」
宇佐美の言葉に、遊真はチラリと烏丸を見た。
遊真の視線に気付いた烏丸は、さりげなく彼に近寄ると、遊真にしか聞こえない声で言った。
「内緒だぞ」
遊真が烏丸を仰ぎ見ると、いつものポーカーフェイスのまま。
遊真はニッと笑い、同じく烏丸にしか聞こえない声で言った。
「りょーかい」
end