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【APH】無題ドキュメントⅢ

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「お帰りなさい。兄さん」
「おう。ただいま」
柔らかくどこか甘くやさしい匂いのする頬に口付ける。それに子どもは擽ったそうに首を竦め、同じようにプロイセンの頬に口付けた。
「…お前、ポツダムにいたんじゃないのか?」
「ブランデンブルグが兄さんがベルリンに戻ったって教えて。行っても立ってもいられなくって無理を言って、馬を出してもらったんだ」
「そ…、そうか」

何、これ、めちゃくちゃ可愛いこと言ってくれんじゃねーか!!

思わずぎゅうっとしたくなるのを何とか堪え、プロイセンは平静を装うとするが、口元が勝手にによりと緩むので失敗してしまう。注げば注ぐだけ返って来るものがある喜びにひととしての本能が奮える。プロイセンはこの無条件に自分に懐き、慕ってくる子どもが可愛くて仕方がない。
「兄さん、疲れてるんじゃないのか?顔色が悪い」
子どもの柔らかい手のひらがプロイセンの乾いた頬を撫でる。その手が気持ちよくて、プロイセンは目を閉じた。
「大丈夫だ。…まあ、後ちょっとしたら、休めるようになるし」
取り敢えず連邦が成立すれば、束の間でも平穏が訪れるだろう。その平穏な時間の間にこの子どもを王として育て、他の領邦に認めさせなければならない。それには時間が必要だ。
「今、ちゃんと休めないのか?」
「今はな。オーストリアとドイツ連邦発足の最終調整に入ったからな。それが終わるまでは気は抜けないな」
「…そうか」
「…でも、まあ。流石に疲れたから、もう寝る。サインすんのも飽きたし」
子どもを抱き上げ、立ち上がる。ふわりと浮いた身体に子どもは慌ててプロイセンの肩へと腕を回した。
「…そうか。では、兄さん、あの…その、だな…」
「ん?何だ?」
もじりと言いよどんだ子どもの顔を覗き込む。子どもはかかっと頬を赤くし視線を伏せる。
「何だ?お兄様にお願い事か?」
子どもらしい我儘も言わず、大人しく部屋で本を読んでいるルートヴィッヒは手のかからない子どもだ。自分が子どもの頃は当に昔々のお話だが、随分な悪ガキで親代わりにも等しい団長からは我儘を言って悪戯をしては説教をくらっていたが、子どもってそんなもんじゃないのか?…と言うか、子どもと言うのは我儘を言って多少の悪戯も許される存在だ。その我儘が自分に叶えられるものなら、プロイセンはこの子どもの為に何だってしてやりたいと思う。
「そうだ」
作品名:【APH】無題ドキュメントⅢ 作家名:冬故