プロポーズ
「…大輝。」
恥ずかしさをしのんでそう言うと、
「ずっと大切にする。」
と、馬村は優しく笑って
またキスをしてくれた。
「馬村も呼んで?名前。」
わたしは馬村にリクエストした。
「は?///」
「呼んでよ。ほらほら、さあさあ。」
じりじり近づいて要求するけど、
馬村はなかなか呼んでくれない。
「さっき呼んだからいいだろ?もう。」
「ずるい!自分は言わせたくせに。」
「俺はいーんだよ。」
「何だよ、それ。」
わたしはふくれっ面になる。
もっと呼んでみてほしかったのに。
「そういやさ。」
「何だよ。」
「この指輪、ひとりで買いに行ったの?」
「……////」
「いつ行ったの?」
馬村はそっぽを向いた。
耳のあたりまで赤い。
「…半年前」
「はんとし?!そんな前から?」
「俺はずっと考えてたんだよ。
お前が呑気にしてる間もずっと。」
カァァァァッと音が出たかと思うほど
自分の顔が赤くなるのがわかった。
そんな前から結婚を考えてくれてたんだ。
「ん?でもなんですぐに言わなかったの?」
「それは言いたくない。」
「?」
その週末、実家に帰って挨拶を済ませた。
おじさんが帰ってくるのを待って、
馬村と結婚することになったことを
報告した。
おじさんは驚いていたけれど、
すごく喜んでくれた。
とりあえずわたしは、
馬村の家に転がり込み、
結婚式まで一緒に住むことにした。
まだ名前は変わってないけど、
同じ玄関から出て、同じ家に帰り、
朝起きたら馬村が横にいるのが
なんだか夢のようだ。
「信じらんねえ。」
馬村が寝る前にボソッと言った。
「何が?」
「お前と一緒に寝て、
起きたら隣にいることが。」
思わず馬村に抱きついた。
馬村はそっと抱きしめてくれた。
馬村を好きになって本当によかった。
あの時迷って出したこたえは
間違いじゃなかった。
わたしの心は、あの時のまま。
馬村といると、
ずっと暖かいままなんだ。
きっとそれはこれからも続く。