淡い、淡い
「イギリスさん・・・」
今のは何だったか。
イギリスの口が開き、確かに自分が聞き取ったあの言葉。
好きだ。
頬が熱くなる。
その場のノリだったのか。
悶々しながらも、日本は会議室へ戻った。
が、そこにはイギリスの姿はなかった。
目の前がグラつくのが分かった。
「どうしたの日本君」
後ろからひょこっと出てきたのはロシア。
「返事がないね、持ち帰っちゃおうかなー」
それでも日本は気が付かない。
「・・・」
ロシアがかがんだ。
「え・」
気づいた時、ロシアの唇は日本の唇に触れようとしていた。
ロシアの後ろで会議室の扉を開けたのはイギリスだった。
日本とロシアのこの光景を見たイギリスは、大きく目を見開いて固まった。
「イギリスさ----っ」
そう日本が口にしたときにはもうイギリスの姿はなかった。
・・
日本とロシアがキスをしていた。
不本意ではあったが、告白したその日に。
拒否の意だろうか。
溺れたいなんて思ったから?
天の報いだろうか?
いやだ。
わがままでもいい。
どうしても。
どうしても、どうしても・・・。
日本が好きだ。
あきらめたくない。
「イギリスさんっ!!」
幻聴だろうか。
日本の声が聞こえる。
するとふいに、後ろから誰かに抱き着かれた。
「イギリスさん・・・っ」
服を通してでも伝わる熱は確かに本物。
「日本・・・」
日本の顔をみたら、一気に言葉があふれてきた。
「好きなんだ。同盟結んだ時から。
ずっとずっと・・・。言葉にできないほど。
お前がロシアを選んでも俺は・・・」
そこまで言葉にしてとまった。
急なことに脳がついていかない。
唇をつつむのはふっくらとしたもの。
かする程度のキスだったが、その相手ははっきりと分かる。
「私がお慕いしているのはイギリスさんです・・・。
あと、ロシアさんとはせ、接吻なんてしてませんから・・・!」
思わぬ告白に戸惑うイギリス。
だがそれを他所に日本は言葉を続けた。
「私は、イギリスさんのことが・・・好きです。」
衝動的に唇を合わせる。
互いの気持ちを確かめ合うように。
end.