ホワイトベースの猫
「フラウ!」
アムロの叫び声に、
「アムロ・・・」
返事だけは出来た。
「フラウ・・立て!」
立つ・・どうして?
何故、立たなくちゃいけないの?
ねえ・・教えてよ。
「・・いやああああ!」
言葉にならない塊が、のどを通して叫びになった。
みんなが居ないのに、
「私だけ・・いけない」
泣く私に、
「立て!」
頬を叩いてくる。
アムロは酷い。
「フラウ、立て!」
そう言いながら、私の頬を叩くアムロは、
「・・・・・・」
無言で、ぶたれ続ける私を、抱きしめて、
「フラウ立って、お願いだから、たってくれよ」
懇願してくるアムロを見て、
「・・・・」
立ち上がった私を見上げて、
「走れ!」
怒鳴る。
「走れ、港には軍艦がある。そこまで走って逃げろ!」
また怒鳴るのを見下ろしているだけの私に、
「フラウは、強い女の子だ。走れる・・走って、生きろ!」
立ち上がって港の方を指さして言う。
「・・・・」
自動人形のように、港の方を向いて走った。