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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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--- 1 早朝の帰還



 護衛艦が日本本土の港に到着したのは午前3時過ぎだった。乗り込んでいた鎮守府Aの艦娘6人と隣の鎮守府の6人は退艦し、海上自衛隊の港湾施設の一角に降ろされて集まり、荷物をまとめて帰りの身支度を整えた。

 人には言えない理由で頭痛がする那珂、五十鈴、天龍の3人、そして他の面々はそれぞれの鎮守府に帰るため6人ごとに集まっている。
 ほぼ全員眠い目をこすりながら、帰宅するまでが遠足(or 旅行 or 仕事)であるというどこかで誰かが言っていたような文言を必死に思い返して、睡魔と戦っている。

 鎮守府Aの面々が集まっている場所では……。
「みんな〜……これから帰りますよ〜。眠いけどあと少し頑張りましょ〜。」
 すさまじいまでの眠気により、普段に輪をかけておっとりしたしゃべり方と空気になっている旗艦五月雨が必死に号令をかける。彼女が5人を見回すと、普段はしゃきっと真面目な五十鈴や、友人の時雨までもぽけ〜っとしている。そして那珂に至っては目をつむっている。本気で寝ているわけではないことだけはその様子から読み取ることができた。

「那珂さん、五十鈴さん。どうされたんですか?普段ならこういうときでもその……しっかりなさっている気がするんですが。」
 普通に心配して声をかける五月雨。

「え?あぁ〜気にしない気にしない。さすがのあたしでも朝は弱いんだよぉ〜」
「同じく。ちょっと頭痛いからそっとしておいてくれると助かるわ……」
 目をつむったまま手を目の前で振り、問題ないことをアピールする那珂と、片手で頭というより額を抑えている五十鈴。
 そんな二人を見て五月雨は?がたくさん浮かんだ顔になっていた。

「はぁ……。ところでどうやって帰ります?同調して海渡って帰ります?それとも歩いて鎮守府までか、タクシーに来てもらうか……」

 出撃回数が一番多い五月雨は出撃後の振る舞いに少々慣れているのか、皆に提案をする。

「さみ?、さすがにここから歩いてはありえないっぽい!」
「あはは…そっか、そうだよね。」
 夕立が適切なツッコミをいれる。それに続いてしっかり者の時雨がその提案に反応した。

「さみ、僕は艤装が壊れてて調子悪いから、できればタクシーか何か別の方法がいいかな。」
 艤装が中破〜大破している時雨は艦娘として当然の移動方法を拒否する。それは艤装が大して壊れていない他の面々も、疲れと眠気で賛成だった。
「でも、この時間って公共機関まだやってないんじゃないの?」時間的に当然の指摘をする村雨。
「うへぇ〜、あたしもうクタクタで歩けないっぽい〜 それに同調してない艤装持っていくの重くて嫌〜」
 夕立は目をこすりながら愚痴る。


 中学生組のやりとりを惚けながら見ていた那珂は頭をふらふらさせながらふと隣の鎮守府の面々の方を見てみた。するとなんと、天龍達6人の前に自衛隊の車両らしき車が停車し、それに乗り込もうとしていた。
 隣で同じ光景を見ていた五十鈴が一言口にした。

「隣の鎮守府ってああいうコネだかなんだかがあるのね。大所帯な鎮守府のところの艦娘たちはいいわねぇ……」
「自衛隊の送迎付きですか〜。うちじゃありえないねw」
 羨ましさが迸る五十鈴の一言に激しく同意した那珂。那珂は五十鈴の一言に頷いて失笑した。
 そして気を取り直すかのように五月雨らの方を振り向いて音頭をとる。