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同調率99%の少女(4) - 鎮守府Aの物語

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「ま、いつまでもここにいたら怒られちゃうし、みんなで分担して艤装運ぼ?今日も学校だし早く鎮守府帰ろう〜」
「ホントよ。泊まり込みの出撃は学校ないときにしてほしいわね。」
 文句を言いつつも高校生という年長者らしく、思考の切り替えはしっかりさせる那珂と五十鈴。頭が冴えてきたのか表情からは眠気は消えている。
 一方の中学生組の五月雨たちは、那珂と五十鈴が何気なく言った最後の一言に、疑問を顔に浮かべた。
 五月雨が質問した。

「あれ?那珂さんたち今日学校なんですか?私達は今日お休みなのでゆっくりできるんですよ。」
「え?マジ!?創立記念日かなにか?」
「いえ。学生艦娘には認められてるお休みだそうです。泊まりを伴う出撃や遠征任務の次の日は代休がもらえるんです。だから私達みんな、ね?」

 五月雨が時雨たちに同意を求めると、時雨たちは3人共、ウン、と頷いた。
 那珂は五月雨たちの説明を聞き目を点にして呆けた。五十鈴も知らなかった様子を見せ、口をパクパクさせて声が出せないほど驚いた様子を見せている。その様子を見た時雨は確認する。

「もしかして……那珂さんたち知らなかったんですか?」
 時雨の一言に那珂と五十鈴は言葉なくコクリと頷いた。

 そしてトドメは村雨が刺した。
「那珂さんと五十鈴さんって……普通に採用された艦娘なんでしたっけぇ?」

 その一言で五十鈴は声を荒げて言った。
「……そうよ!私達二人とも、普通に採用された艦娘よ!悪い!?」
 なぜか逆切れをする五十鈴に村雨たちはハッと驚いた後苦笑いするしかなかった。

「あたしたちそのあたりのこと、提督から教えてもらってないよ〜」と那珂は半泣きになる。

 時雨と村雨たちが告げたその事実に、那珂と五十鈴は唖然としたり半泣きになったり激昂したりと忙しい反応をあたりそこらに示して喚き散らす。そして普通の艦娘にはそんなデメリットがあるのかと、声にこそ出さなかったが、悔やむことしかできなかった。

「とにかくぅ!あたしと五十鈴ちゃんはマジで帰らないとまずいから急いで帰ろ!?」
 那珂は艤装を装備し始め、同調するのも忘れて駆け足になる。五十鈴も似たような状態になりつつあった。
「そうね。……そうね。ええと。この時間ここからだとどうすれば……!?」

 つまり、二人とも混乱していた。
 普段は冷静だったり、着任時からすごい判断力と発想力で鎮守府Aの面々を驚かせた那珂と、最初の軽巡担当である五十鈴の慌てようを見た五月雨たち中学生組は、普段とは立場が逆になっていることになんとなく優越感を持った。

「あたしたちはの〜んびりかえろ、さみ、時雨、ますみん。」
 無邪気に発言する夕立だが、急いで帰る必要がある高校生二人組の話は別としても、夜明け前の深夜に、年若い少女たちが関東の南西の端にある海上自衛隊の基地から帰る足に困っている事実は変わらないのだった。