ぐらにる たまご2
と、のんびり夕食の話をしていたら、亭主がやってきた。あからさまに警戒した顔なので、「俺の友人でティエリアの親戚。」 と、ニールが紹介したら、びっくりしていた。そして、リボンズも、「マイスターとは別チームのリボンズ・アルマークです。ニールの見舞いに参じました。」 と、優雅にお辞儀した。
「姫、随分親しい方のようだが、私は一度も聞いたことがないぞ。」
「まあ、普段は滅多に逢わないからな。ただ、今回は俺が蛇にやられたんで見舞いに顔を出したんだよ。こいつのチームがやりやがったからさ。」
「はあ? 」
「あんな強引な方法だとは存じなくて失礼した。あなたにも心配をかけてしまった。申し訳ない。・・・・お詫びといっては、なんだが、今日は夕食にご招待したいと思うんだが? 」
「ああ、グラハム、たぶん屋台で、バリバリってコースになると思うから。久しぶりに会ったから話したいし、おまえにも有意義だぞ? おまえと似たような役職だからさ。」
「姫、こちらの方は、私たちのことを話してもいいのか? 」
「いいんだ。ビジネス上は、聞かないことにしてくれてるけど、友人だから連絡はしてある。」
「ニールを射止めた相手には、僕も興味があったんだ。どうぞ、招待を受けてください、エーカーさん。」
「そういうことなら、お受けいたします、アルマークさん。」
で、リボンズと握手して社交辞令はしているが、ニールのデッキチェアに座っているので、ヤキモチ全開ではあるらしい。
「リボンズは泳ぐか? 」
「きみが泳がないのに? 」
「このままなら泳げるけど。」
「いや、姫、安静なんだから水泳はダメだ。・・・・姫、話なら部屋でゆっくりしたら、どうだろう? もしなんなら、私は席を外すが? 」
「そんな難しい話はしないよ。こいつもオーバーワークな人だから、のんびりくだらない話するぐらいだ。」
「いいねぇ、一緒にシエスタしようか? ニール。エーカーさん、ご一緒に、どうですか? 」
「もちろん、一緒に。」
リボンズが立ち上がると、グラハムはニールを、どっこいせ、と、お姫様抱っこで立ち上がる。
「このまま歩いたら、ぶっ殺す。」
「だが、姫、体調が・・・」
「俺の睡眠時間を削ってるのは、おまえだ、おまえ。今日は、寝るからな。」
毎晩毎晩、時間制限なしなことをしているので、ニールは寝不足なだけだ。あれのほうが水泳なんかより、よっぽどハードな運動だと思う。ニールか手にしている小瓶を見て、「これは? 」 と、視線で問う。
「陸蛇のタマゴのオイル漬け。滋養強壮のクスリでもあるんだってさ。」
「貴重品ではないか。」
「リボンズが見舞いにくれたんだ。味見したいか? 」
「もちろんだ。」
「じゃあ、部屋で、これの試食会だな。」
「これだとガス入りワインの白だろうね。」
「いいねぇーおいしいもん食って昼寝か。リボンズもシエスタして疲れは取れよ? 大変だろ? トップは。」
「あはははは・・・・そうだな。なかなか、いいホリデーだ。」
三人して、砂浜を歩き出す。だが、この後、あまりのいちゃこらさ加減に、リボンズでも驚いたらしい。