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伝えたい事

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遠いどこかから、俺は戻ってくることができたらしい。
夢を見ていたのだろうか。
フォウと出会った事も夢だったとしたら・・こんなに苦しくないだろうか。
苦しくても、俺は彼女に出会ってよかったと思いたい。
思える日が来ると良いと願うし、ファがこうして待っていてくれたから、帰る事が出来たのだとぶらぶらと歩きながら、意識が戻った時の事を思い出す。
最初に見たファの黒い瞳。
ファの瞳の中に、俺が映っていて、ファが見ているのが俺だけで、俺が見ているのがファだという事が自然で当り前の事のようで、とても嬉しいと思った事を覚えている。
俺の幼馴染だというだけで、ずいぶん理不尽で、酷い目にあってきたのに、それでも俺を見捨てずに寄り添い見守り続けてくれていた。
シロッコとの最後の戦いの時、奴に引きずり込まれてしまった俺は、子供の様になってしまっていたそうだ。
ハヤト艦長達のお蔭で地球に落ち着く事ができた事、ZZというガンダムパイロットになったジュドー=アーシタ達の事もファは話してくれた。
その子達はまとめてガンダムチームって呼んでいたそうだけど、ガンダムにチームって合わない気がするのは俺だけだろうか。
ジュドーには何度か会ったらしい。
ジュドーの事が全く記憶にはないので、そのままファに伝えたら、
「それ聞いたら、ジュドーがっかりするかもね」
悪戯っぽい笑顔で返事された。
どうやら、ジュドーという奴と俺は仲良くなっていたらしい。
また会おうにも、ジュドー=アーシタは、ルー=ルカというMark-Ⅱのパイロットと一緒に木星に行ってしまったので、会う事はないだろう。
ルーは大人っぽい綺麗な女の子らしい。
しっかり者だということだから、ファに似ているじゃないかと勝手に想像している。
ジュドーの癖に生意気だな・・と思った。
少し寂しいが、そんなものなのかもしれないとも考える。
つまらない理由で一生会えなくなるなんてよくある話だ。
俺と両親のように・・・、ファと今でも一緒に居られるのは奇跡なのかもと思う。
ハヤト艦長・・とも、二度と会えなくなっていた。
あの時の戦いは、グリプス戦役と呼ばれていて、俺はシロッコと相打ちで現実に戻れなくなったし、クワトロ大尉はアーガマには帰ってこなかった。
戦闘があった空域で全壊に近い百式だけが発見できたとこれもファから聞いた事で、他人事のように親しい人達に起こった出来事を聞くだけしかできない。
「本当に情けない」
地球から宇宙を見上げて呟く。

作品名:伝えたい事 作家名:かえで