伝えたい事
「ジュドー、荷物はこれだけでいいのかしら?」
セイラさんに言われて、
「まだあるから、取りに言ってくる!」
慌てて駆け出した。
そんな所は変わらないなと思いつつ、お兄ちゃんが戻ってくるのを待つ。
「楽しくて良いお兄さんね」
って褒めてくれるセイラさんの目がどこか遠くを見ているように感じた。
もしかして、セイラさんのお兄さんの事を思いだしたのかしら?
お兄ちゃんを観察しているとやっと思い出してもらえた荷物のリュックも拾って、また走りだした。
荷物って、何かあるのかな?
お兄ちゃんならリュック一つで間に合いそうだけどなと不思議に感じた。
それから戻ってきたお兄ちゃんと改めてご挨拶。
セイラさんに、
「リイナがお世話になっています」
そう言ってくれた。
「私の方がお世話をして貰って助かっています」
保護者同士の会話みたいで、傍にいる私としては照れる。
照れるけれど、嬉しい。
どうしたいのだリイナ=アーシタ!
自分でもどうしようもない位に、嬉しくて困っている。
妹の命の恩人で、地球でのリイナの身元を引き受けてくれている女性に頭を下げる兄は、大人にみえた。
別れた頃の・・それどころか、先程騒いでいたやんちゃな少年でもない。
それが少し寂しかったけれど、大人っぽくてしっかりしていて、誇らしくて、胸がいっぱいになった。