伝えたい事
だって・・
だって!!
走っているから!
当のお兄ちゃんは立ちどまったと思うと
「よし! 来い! リイナ!」
って、言いだした。
両手を広げて、私が飛びついてくるのを待っている。
お兄ちゃん・・何その期待に満ちた瞳は・・
その期待通りにするのは癪だけど・・・
「おにーちゃん!」
飛び込んでしまった。
人間も急には止まれないのよ。
私は20歳になるのに・・・、大人になろうと決心したばかりなのに、・・いいの?
もう、いいや!
「リイナ! 大きくなったな~!」
抱きとめた瞬間から、おでことかほっぺたにキスしてくるのだ。
「おおきくなったな~! お兄ちゃんは嬉しいぞ~!」
どうしようもなくテンションが上がり続けている兄に、同じ位のハイテンションだった妹である私でも・・・、流石に・・ひくわ~。
「ふふふ・・・」
鈴を転がしたようなという表現が似合う笑い声と軽やかなヒールの靴音がして、
「元気そうね。ジュドー=アーシタ、おひさしぶり」
セイラさんの声がした。
ハイテンション兄妹のはた迷惑に、止めに来てくれたのだろう。
でも・・わたし・・うごけない・・。
お兄ちゃんが抱きしめて、離してくれない。
いいの。
いいのよ。
抱きしめるくらいなら、でも顔がお兄ちゃんの胸板にはりついて・・酸欠に・・なり・・そう・・・気持ちでは・・ばたん・・・倒れました。
ようやくお兄ちゃんのハグから解放された時、私達は物凄く注目されていたけど、お兄ちゃんは気が付いていないし困るよ。