伝えたい事
Obligation(後篇)
偶然、助け出した少女がZZのパイロットの妹だった。
ZZのパイロットであるジュドー=アーシタがアーガマに乗っていたなんて!
しかも1年戦争を共に戦ったブライトの部下だったなんて、本当に事実は想像以上な事が起こるものね。
リイナ=アーシタ・・・小さな女の子だったのに、もうすぐ20歳になるのだ。
歳月の流れは誰に対しても同じ速さで過ぎてゆく。
リイナが少女から大人に変わっている短くない時間、私は彼女の傍に居たのだ。
彼女の保護者として、身元引受人として、同居人として、それだけではない。
姉のように、母のように、叔母のように、年長の友人のように、疑似家族に似た温もりと繋がりを紡ぎながら、共に暮らしてきた。
彼女との生活は、思いがけない安らぎを与えてくれた。
世界は楽に生きられる程に優しくはないけれど、それでも生きていけない程には、冷たくないと信じたい。
キラキラと輝くひとみを持つ少女と共にエアポートに居た。
木星に行った彼女の兄が、妹に会いに来ると連絡が来たので迎えに来たのだ。
「何年振りかしらね」
12歳だったリイナが、もうすぐ20歳・・だから、7年たつのか?
ラサが落ちてから、2年ほどの年月が経ったのね。
兄さんとアムロが、あのオーロラと共に逝ってから・・、いろいろな事があったわ。
兄さんのシャア=アズナブルの死亡宣告が出たけれど、どうしてかしらね。
どうしても、兄さんが死んだとは思えない。
ああ見えても軍人だから、身体は丈夫ですものね。
それに結構しぶとい人だし、アムロも一緒だし・・、どこかで生きているような気がしてならない。
ミライと話す機会が会った時、兄の話をしたのだわ。
「そうね。私もそう思うわ。彼等は死んでいないって・・」
彼女も同意してくれた。
ミライがそう思うなら、本当にどこかで生きていると確信できる。
ニュータイプの資質がある人だから懐かしい友人の顔を思い出しながら考える。