伝えたい事
WBで得たものは、強くてあたたかな人との絆だった。
私達は生き延びる為に戦ったのであって、英雄になる為に戦ったわけではない。
1年戦争が終わって、戦いは終わったのだと思いたかったけれど、また新しい戦いの火種は産まれつづけて、その所為で兄とアムロも戦いあわねばならなかった。
「悲しい事ね」
そっと呟いた時、
「おーい!」
誰かを呼ぶ声がした瞬間、リイナが走り出した。
呼びかけた相手も人を避けながらも、リイナに向かって走っている。
リイナと同じ濃い茶色の髪の青年で、ジュドーだ。
「羨ましいわ」
あんな風にはなれない・・あの頃に戻れない。
それ程に、自分と兄は離れすぎた。
「よし! 来い! リイナ!」
と両手を広げて妹を受け止めるジュドーの姿に、
「兄さん・・」
兄を思い出さずにはいられなかった。
その頃は、父も母も居て、兄が傍に居てくれた。
黒い毛皮のルーシファ・・私の猫、いつも一緒だったのに、今は居ない。
金色の髪と青い瞳の母も私達を守る為に残り、厳格で優しかった父は理想と共に逝ってしまった。
残されたのが、私とキャスバル兄さん・・で、お互いがお互いしかいなかったのに、私はアルテイシアを捨てたし、兄もキャスバルからシャア=アズナブルになった。
リイナとジュドーは、無邪気に抱き合い再会を喜び合っている姿を見られてうれしいと素直に思える。
感動の再会は良いけれど・・
「そろそろ潮時かもね」
呟く。
感動の再開の続きは、自宅に戻ってからして貰おう。