主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~
ハルヤ「はじめまして、ベルさんにリュウカさん」
ベルとリュウカに声を掛けてきたのは、このタマムシ図書館の主任理事で運営に携わっているハルヤという男だった。
リュウカ「ところで、さっきあたし達に声を掛けて来た時、ふたご島について気になっていたようですが…」
ハルヤ「あぁ、実は僕の実家がふたご島からそう遠くないセキチクシティにあるんだ。ついでに言えば、僕の祖父はグレン島の出身なんだ。だからふたご島の話題が出てくると、首を突っ込まずにはいられなくてね」
ベル「そうだったのですか。それならお聞きしたいのですが、ふたご島について何か知っていますか?」
ハルヤ「うーん、恐らく君達が調べていること以上のことは知らないなぁ。強いて言うならば、ふたご島には長い歴史を持つ伝統の儀式があるということだね。その儀式は無病息災、子孫繁栄を願って行われるんだ。でもその儀式で祀られているのは、フリーザーではなく、大昔周辺の海域をおさめていた神様なんだ」
淡々とふたご島で行われている伝統の儀式について語るハルヤ。それを真剣な表情で耳を傾けるベルとリュウカ。
リュウカ「確か、この儀式についての記述もありましたけど、あまり詳しくは触れていませんでした」
ベル「この伝統の儀式についても併せて調べてみる必要がありそうね。ハルヤさん、貴重な情報ありがとうございました」
ハルヤ「こんな情報でもお役にたてたら光栄だよ。それじゃあ、僕はそろそろ別の場所を回るけれどまたこの近くに来るから、何か聞きたいことがあったら気軽に声を掛けてみてね」
ベル・リュウカ「「はい」」
ハルヤがベルとリュウカから離れた後、2人はその後もふたご島に関する文献調査を進めていく。この文献調査のうちに、ベルのみならずリュウカにも研究員の風貌が次第に見えてきたようである。しばらくこの作業を続けて、ベルとリュウカはそろそろサトシ達と合流することにした。
ベル「さて、この本はここにっと…。リュウカちゃん、ホントに今日はありがとうね」
リュウカ「いえいえ、今日兼ねてから行きたかったタマムシ図書館に来れたのですし、それにこういった作業も割と好きですよ」
ベル「もしかしたらリュウカちゃんは研究員に向いているのかも」
リュウカ「ふふふ、そうかもしれませんね」
読み終わった書籍や資料を片付けながら、お互いに顔を合わせて笑いあうベルとリュウカ。
ベル「? 何かしら?」
片付けの最中、ベルはある一冊の“薄い本”に目が止まる。
ベル「何かの雑誌のようね。確か図書館の雑誌コーナーは別の場所にあったから、誰かが間違えて入れたのね」
ベルは後で所定の位置に戻そうと、その雑誌のような本を本棚から取り出す。ベルはこの直後、本の表紙を見て驚愕することになる。
ベル「!? な、なにこれ!?」
ベルが取り出した本は、『必見! トレーナー・セ○○○・ライフ!』というタイトルで目隠し加工された女性トレーナーの露わな姿が掲載されていた。ベルは思わず、その本を床に放り投げてしまう。床に落ちた衝動で本のページが開き、開かれたページにも青少年の健全育成上不適切な表現物が掲載されていた。文字通り、“薄い本”であった…
ベル(な、なんで、図書館にこんなものがあるのよ//////)
ベルは突然の驚きと恥ずかしさのあまり、赤面して顔を覆ってしまった。するとそこへ、
リュウカ「あれ? ベルさん、一体何が…!?」
別の場所で片付けをしていたリュウカがやって来て、床に座り込んでいるベルに何があったのか聞いてみる。その時、リュウカも床に落ちている例の物に気が付き、一瞬思考が停止する。そして内容に目が入り、恥ずかしさのあまり顔を赤くさせる。
ベル「り、リュウカちゃん、こ、こ、こ、これどうしよう…」
リュウカ「ど、どうしようって言われましても///」
ベルからどうしたものかと聞かれ、困惑するリュウカ。2人ともこういった状況には遭遇したことがない(まず遭遇することは全くと言っていいほどないのだが…)ため、どう対処していいのか分からなかった。
ハルヤ「2人とも、床に座り込んで一体どうしたn…」
そこへハルヤが来て、彼もまたベルとリュウカが床に座り込んでいる原因となっている物に気がつく。そして、何も言わずにそれを手に取り、2人に「ごめんね。」と一言言いながら、例の物を処分しにいった。そしてすぐに、ベルとリュウカのもとへと戻ってきた。
ハルヤ「最近、こういうイタズラが増えているんだ。防犯カメラを設置すれば早い話なんだけど、なるべく利用者には気持ちよく本を読んでほしいからね。下手に設置できないんだよ…。でも誤解しないでね、間違ってもあんなものは図書館にはおかないから」
ベル「え、えぇ。はぁ、それにしてもびっくりしたぁ…」
リュウカ「こういうイタズラはやめて欲しいものですね…」
ベルとリュウカはこの一件で一気に疲労感が増したようである。しばらく休憩して心を落ち着かせた後、2人はハルヤと別れてサトシ達がいるであろうポケヴェール女学院へ向かうことにした。
ベル「さぁて! 変なことはあったけど調べ物は済んだことだし、ポケヴェール女学院へ行きましょう」
リュウカ「はい! サトシさん達を待たせるわけにもいきませんしね」
図書館を出る前にハルヤからポケヴェール女学院への道を聞き、ベルとリュウカは早速そこへ向かうのだった。
続いて後書きショー
リュウカ「作者さん、終盤になんであんな物を出したんですか!?」
天の河「まぁ、この作品は一応ジャンルとしてギャグ路線だから、こういうのもアリかなと思って」
ベル「ホントにびっくりしたわ。急に出すものだから…」
天の河「その件に関してはすまなかった。ただ、さっきも言った通り、ギャグ路線だから今後もこういったのは出てくると覚悟しておいた方がいいぞ」
リュウカ「今後も…ですか(汗)」
ベル「またあの恥ずかしい思いをしなければいけないのね…」
天の河「まぁ、そういうなって。それでは最後にあたりまして、今回もここまでお読みいただきありがとうございます。次回以降も是非ご愛読いただけたらと思います」
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~ 作家名:天の河