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主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~

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第37話『調べ物はここタマムシ図書館にて』

前書き

サトシ達がポケヴェール女学院で各々の時間を過ごしていた頃、ベルがどうしていたかの話です。あと、ポケモンとは別の生物についての扱いですが、この作品ではオリジナルの名称に変えて存在するものとします。そうしないと、他の作品とコラボしたときに整合性がとれなくなる可能性が発生したためです。尚、コラボの候補としては同時進行中の時オカ編です。


ついでにですが、今回の話にちょっとしたイタズラもあります(笑)





 サトシ達と一旦別れたベルはリュウカとともに、タマムシ図書館に来ていた。タマムシ図書館はあらゆる分野の学術的な書籍や文献が数多く納められており、日本有数の巨大書庫として知られている。国内外から学者はもちろん、一般市民も気軽に利用することが出来る。


ベル「ふぅ〜。ごめんね、リュウカちゃん。沢山の本や資料を運ぶの手伝わせちゃって。重たかったでしょ」


リュウカ「えぇ。こういった分厚い本を持ち運ぶことなんてあまりないので結構キツいですが、たくさんの本が読めることを考えれば楽になります」


ベル「もしかして、リュウカちゃんは本を読むのが好き?」


リュウカ「はい。小さい頃から、外で遊べない時は必ずと言っていいほど本を読み漁っていましたね。それに本を読むといろんなことが知ることが出来て、心も満たされた気分になるんですよ。実は今回、ベルさんについていったのもこのタマムシ図書館に来てみたかったというのもあるんです」


ベル「なるほどね。あたしはリュウカちゃんほど好きってわけじゃないけれど、本を読めば知らなかったことも知ることが出来るというのは分かるわ」


 リュウカはかなりの読書家で、日ごろからいろんな書籍を熟読しているとのこと。この国内有数の書庫であるタマムシ図書館には、かねてから行ってみたかったようである。ベルとリュウカはある程度の書籍および資料を運び終えると、さっそくそれらに目を通す。


リュウカ「ポケモンとは別の生物。これもポケモンとは違った奥深さがありますね」


ベル「最近では、ポケモンの技の一部を使用する生物も数多く報告されているわ。自らの身を守るために、覚えているみたい。ポケモンとポケモンとは別の生物の食物連鎖についてはまだ研究段階なのだけれど、自然の摂理を考えればあって不思議ではないわ。さらに言えば、一部はあたし達人間の食物としても利用されている。」


リュウカ「わたし達は、普段の食事にしても自然の恵みを受けているんですよね。なんだか奥が深いです」


 リュウカとベルが今読んでいるのは、生物学についての書籍。2人でこの世界に存在するポケモンとは別の生物について語っている。語っているうちに、ベルとリュウカは生物学の奥深さについて改めて考えさせられたようだ。


ベル「さてと、生物学についてはこの辺にしましょう」


リュウカ「確か、ベルさんがサトシさん達との旅に同行する目的って、この先のふたご島に行くためですよね?」


ベル「えぇ。そもそもカントーに来たのも、アララギ博士からふたご島について調べてほしいとの命を受けてのことだもの」


リュウカ「出来る限りのことは、お手伝いしますよ」


ベル「ホント、ごめんね。リュウカちゃん」


 生物学の文献調査を切り上げて、次はベル本来の目的であるふたご島についての文献調査である。


ベル(さすがは全国有数の書庫ね。書籍類の他に資料も充実しているわ)


 タマムシ図書館に来て改めて、書籍の多さにあっと驚かされるベル。眼鏡をかけて集中して書籍及び資料に目を通す姿は、正しく研究者そのものである。


ベル(最近報告されている、ふたご島にてイーブイがグレイシアに進化する現象。周辺地域の環境はシンオウのテンガン山、イッシュのネジ山とは全く違うのにどうして起きるのかしら? 共通点としてはこおりポケモンの住処くらいにしか見当たらないけれど…)


 実はここ最近、ふたご島に連れていったイーブイがいつの間にかグレイシアに進化するという現象が多数報告されていた。今までこのような現象はシンオウのテンガン山、イッシュのネジ山以外での報告はなく、ふたご島もこの二地点との関連性が指摘された。ところが、数多くの学者が現地に赴いたにもかかわらず、これといった共通点がまだ見つかっていない。


ベル(もし、この案件が解明されるようなことになったら世紀の大発見かもね。ん?)


 ベルは、書籍に記されていたふたご島にまつわるある記述に注目する。ふたご島、伝説、氷ポケモンこの二つに共通するものといえば…。もう、読者の方々もお分かりであろう。


ベル「フリーザー伝説…」


 ベルが注目したのは、ふたご島やその周辺地域で言い伝えられている伝説のポケモン・フリーザーについての記述だった。


リュウカ「フリーザーって確か、伝説の鳥ポケモンのうちの一体でしたよね?」


ベル「えぇ、ここにはこう記されているわ。『かつて、ふたご島周辺では凍てつく氷を纏いし鳥ポケモンを神々しい存在として崇めていた。ひとたび現れると、周りにいた者は皆、直立していられないほど寒さで震え上がる。』。この凍てつく氷を纏いし鳥ポケモンがフリーザーね。ふたご島周辺では、神様として崇めていたようね」


リュウカ「特にふたご島の近くにあるグレン島とはかなり深いかかわりがあるような記述がされていますね」


ベル「ふたご島を調べるにあたって、フリーザー、グレン島のことは切っても切り離せないようね。3つを関連付けて、ふたご島へ踏み込む必要があるわ」


 ベルは書籍および資料に目を通して、ふたご島、フリーザー、そしてふたご島からは目と鼻の先のグレン島が何等かの関係があると考える。ふたご島にはかねてから、『元々は一つの島であって、グレン島が噴火した際に地形変動で二つに分かれた』、『ふたご島はグレン島の噴火により、地面が隆起したことで誕生した』などと地質学者の間で数多くの仮説が立てられており、実際に島の土の成分の大部分は、グレン島の火山灰、溶岩であることが解明されている。実はこのベルの考えは、かなり筋の通ったものである。


リュウカ「ベルさん、ふたご島についてはかなり事前に調べているようですね。凄いです」


ベル「いやぁ、ほとんどはアララギ博士から提供された資料を活用しているだけなんだけどね」


リュウカ「それでも凄いです。あたしも見習わなくては…」


 ベルとリュウカがふたご島について調べつつ、他愛もない会話を繰り広げていた(もちろん、図書館ということで声のボリュームは下げているのだが…)その時だった。ある人物が2人に声を掛けてきたのだ。


???「随分とふたご島について調べているんだね」


ベル「? あなたは?」


???「あっ、いきなりごめんね。僕はハルヤ。このタマムシ図書館の主任理事として働いているんだ。」


ベル「そうでしたか。あっ、あたしはベルといいます。それでこっちは今日一緒についてきてもらっているリュウカちゃんです」


リュウカ「はじめまして。あたし、リュウカといいます」