主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~
第52話『ダイビング・バトルのすすめ』
前書き
前回、ママンボウ相手にカスミがやったバトルについてがメインです。ちなみに、オリジナル設定です。
前回、ママンボウをゲットしたカスミとヒカリ。
アイリス「二人とも、お疲れ〜」
リュウカ「念のために、あらかじめ飲み物をゲートで貰っておきました。お二人の分はもちろん、皆様の分もありますよ」
ヒカリ「あっ、ありがとう。リュウカちゃん」
カスミ「丁度、喉が渇いていたところよ。助かったわ」
ボートへと上がってきたヒカリとカスミは、全員から労いの言葉を掛けられつつ、リュウカからスポーツドリンクを手渡される。ヒカリとカスミは渇いた喉を潤すため、そのスポーツドリンクをゆっくりと飲み始める。
ヒカリ「ねぇ、カスミ。さっきカスミがやったのが、水中でのバトルのやり方なの?」
カスミ「えぇ、そうよ」
アイリス「水中でのバトル?」
ベル「カスミちゃん、あたし達にも詳しく教えてくれないかしら? カスミちゃんとヒカリちゃんの水中でのバトル振り、ボートに乗っていたあたし達には分からなかったから…」
ヒカリとカスミの会話の流れから出てきた『水中でのバトル』というフレーズに、カスミとヒカリがママンボウとバトル中にボートに乗っていた面々は当然のことながら疑問符を浮かべる。
カスミ「分かったわ。元々みんなには話そうと思っていたのよ。実はあたしと姉さん達で今、『ダイビング・バトル』というのを全国規模で普及させようとしているの」
リュウカ「『ダイビング・バトル』…ですか?」
カスミ「起源は海外のある地域で大昔に行われていた儀式なの。以前その地域に姉さん達と一緒に旅行に行った時、関連の文献や資料に触れてかなりの印象を受けたわ」
カスミが印象深く感じたという大昔の儀式について、カスミ自身が大まかな説明をする。
※ どんな儀式なのかは、御想像にお任せします。決してネタが思いつかなかったわけd(ry)
ヒカリ「その儀式、さっきカスミが水中であたしとポッチャマに見せてくれたのととてもよく似ているわ」
カスミ「えぇ。今となっては行われていないその儀式なのだけど、数十年前からそれを基にした『ダイビング・バトル』が広まっていたのよ」
リュウカ「人々の古き良き歴史を大切にする思いの表れですね」
カスミ「あたしと姉さん達はこの『ダイビング・バトル』は何とか日本全国で広められないかなと思って、『ダイビング・バトル』の運営に携わっている人々のもとへ訪れたわ。するとその人たちからは、「是非広めてください。この『ダイビング・バトル』は歴史と伝統ある誇りです。将来的には世界中でこの『ダイビング・バトル』の大会が開かれるのを目標にしています」ってお願いされちゃったわ」
ハルカ「それで、ハナダシティに持ち帰ってそこから全国に普及しようと始めたのね」
カスミ「そうなのだけれど、これがなかなかうまくいかないのよ。水中では言葉をかわせない代わりに身振り手振りのジェスチャーでポケモンに指示を与えるの。言葉が交わせない分、地上でのバトルよりポケモンとのコンビネーションが要求される。それに加えて、トレーナー自身の水泳とダイビングの技術も必要になるから、結構大変なのよ。正直、あたしや姉さん達ですら、失敗続きだったわ」
ヒカリ「聞く限りでは、なんだか難しそう」
カスミ「でもポケモンとの意思疎通がうまくいったときの達成感は格別よ。恐らく地上でのバトルよりもポケモンとの絆の深さを実証できるわ」
ベル「言葉を交わさずに、トレーナーのジェスチャー一つでポケモンに指示を与えるかぁ…。なんだかカッコいいわ」
アイリス「アタシも、その『ダイビング・バトル』やってみたくなったわ」
カスミ「将来的にはバトルのみならず、コンテストにも売り込みに行こうと思っているの。ハルカやヒカリにも、きっと楽しめるようにしてみせるわ」
ハルカ「うわぁ〜、それは楽しみかも」
リュウカ「私もなんだか興味が湧いてきました」
ヒカリ「あたし、この間の水中ショーに参加したときひょっとしたら水中でもコンテストパフォーマンスが出来るんじゃないかと思っていたのよ。カスミがそこまで考えていたのなら、好都合だわ」
カスミの話を聞いて、その場にいる全員が『ダイビング・バトル』に対して興味を抱き始めたようだ。さらに、将来的にコンテストにも取り入れる計画があるという話は、ハルカとヒカリのコーディネーター魂を擽らせたようだ。
ベル「サトシ君達も、効いたらびっくりするだろうね」
ヒカリ「特にサトシは、「カスミ、詳しく教えてくれ!」とかいってきそうね」
カスミ「ふふふ、確かに。アイツはどんな時でもバトルのことは片時も忘れないものね」
その頃…
サトシ「クシュン! ん…」
マサト「大丈夫? サトシ」
サトシ「あぁ、なんとか…」
こんなやりとりもあったのは別の話。その後も、サトシ達はパルパークじゅうを回ってポケモンをゲットしていき、持ち時間いっぱいまで園内で楽しんだ。そして、持ち時間がなくなりそれぞれゲート前にて合流する。
サトシ「さぁて、ポケモンも沢山ゲットしたことだし、そろそろふたご島に行くか」
ヒカリ「そうね。ベルのこともあるし」
タケシ「確か、セキチクの海岸から連絡船が出ているはずだ」
サトシ達がパルパークを後にしてふたご島に向かおうとしたその時だった。
従業員A「君達、ふたご島に行くのかい? だったら、一度セキチクのジムに行ったほうが良いよ」
アイリス「えっ? どうしてですか?」
従業員B「何故かと言うと、ジムで連絡船の定期券を配布しているからなんだ。普通にお金を払って買うことも出来るけれど、なるべくお金を節約したいトレーナーやコーディネーターはジムリーダーとのバトルに勝利して、定期券を手に入れるんだ。バトルに勝利したら、挑戦者だけでなく付き添いの人間も人数分手に入れることが出来るよ」
ベル「ここのジムリーダーにバトルで勝ったら、タダで定期券が手に入るのね。それに、ジムリーダーとのバトルをすることでバトルの腕も上がるんだから、一石二鳥じゃない」
従業員B「簡単に言えばそうなんだけど、ここのジムリーダーはそう簡単には倒せないよ。あのニンジャマスターでジョウト四天王に上り詰めたキョウの血を引く、アンズだもの」
サトシ「えっ? セキチクのジムリーダーって、キョウさんじゃないんですか?」
現在セキチクのジムリーダーを務めているのはキョウではないという事実を知り、驚くサトシ。
タケシ「キョウさんはジョウト四天王になったのを機に、ジムリーダーの職務を娘に譲ったんだ」
サトシ「そうなんだ。俺、旅に夢中でそういった事情は調べてなかったなぁ」
カスミ「ハァ…。もう少し関心持ちなさいよ(汗)」
アイリス「カスミの言うとおりだわ。ホント子供なんだから…」
サトシ「…面目ない」
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~ 作家名:天の河