主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第19話『世界トップクラスのパフォーマンス』
前書き
‘夢の祭典’、満を持して開幕!
尚、一次審査はコーディネーターとポケモンが一組ずつ順番に行うパフォーマンス演技で、二次審査はトーナメント方式ではなく、エキシビション方式のコンテストバトルで行います。コンテストバトルの組合せは、一次審査の結果を踏まえてランダムで決める設定です。
ビビアン「会場の皆様、只今より一次審査を開始いたします。この一次審査の結果は、この後の二次審査の組合せをきめる際の参考資料となります。それでは、8名のトップコーディネーターが織り成すポケモン達との素敵なコラボレーションをとくとご覧あれ!」
ビビアンが一次審査開始のコールを行う。先程彼女が読み上げた順にトップコーディネーター達がポケモン達とのパフォーマンスを披露する。
オォォォォォォォ! パチパチパチ!
世界トップクラスのパフォーマンスだけあって、観客の歓声とどよめき、拍手の量が尋常なレベルではない。
ヒカリ「これが世界トップクラスのパフォーマンス…」
カスミ「見る者すべてを魅了するというのはこのことね…」
ハルカ「マリナとノゾミ、プレッシャーに押し潰されなければいいけれど…」
カスミ、ハルカ、ヒカリのコンテスト組は、この‘夢の祭典’が醸し出す独特の雰囲気にあっと驚かされていた。この独特の雰囲気と世界中から招集された実力のあるトップコーディネーターに囲まれながらパフォーマンスを披露するのは、マリナとノゾミにとってはかなり酷なものであろう。
マリナ(これが世界大会ね。今までのコンテストとはまるで桁が違う緊張感を感じるわ…)
ノゾミ(でも、こういう場合平常心を保とうとするあまり、逆に崩れてしまうってことになりかねないからね。結果なんて気にせずに楽しむ感じでパフォーマンスを魅せていったほうがよさそうだね…)
マリナ、ノゾミも押し潰されそうなくらいに‘夢の祭典’独特のプレッシャーを感じていた。ただ、それでも冷静に他のトップコーディネーターのパフォーマンスを見つめている。
ビビアン「続きまして、コンテスト界最高の女王(クイーン)・リリア様のパフォーマンスです!」
リリア(もうわたくしの出番ですか。時が経つのは早いものです)
一次審査は、リリアの順番まで巡ってきた。リリアも他のトップコーディネーターのパフォーマンスを眺めながら自らの順番に回って来るまでコンディション調整をしていたのだが、あまりの時の流れの速さに少々驚きを見せていた。
パチパチパチ!
リリアはステージ上に姿を現すと、ステージ中央に移動して観客に向けて深く一礼をする。その直後、観客から盛大な拍手があがる。
リリア「ドレディア、本日会場にお越しくださった皆様に最高のパフォーマンスを披露いたしましょう」
シュッ! ポォォォォォン!
ドレディア「ドレディィィア!」
パチパチパチ!
一次審査でリリアが送り込んだのは、草タイプのドレディア。登場する際のドレスアップも華やかに決まり、観衆から盛大な拍手が送られる。
リリア「華麗に舞いなさい、ドレディア!」
ドレディア「レェイディ!」
リリアが一声かけて、ドレディアはつま先とステップを駆使しながら踊り始める。どうやら、「イタリアで生まれ、フランスで育ち、ロシアで成熟した」と言われるバレエがパフォーマンスのメインのようだ。
ドレディア「ドレェ! レェイ! ディア!」
アン・ドゥ・トロワのステップで、華麗にバレエを披露するドレディア。観衆は魅了されているのか、黙々とドレディアが踊る様を見つめている。
リリア「花の都、パリ」
ドレディア「ドレディ〜」
ドレディアは、‘はなびらのまい’でさらに華やかさを演出する。ただ、ドレディアは舞い散る花びらの中でひたすらバレエを披露しているだけではなかった。地面に落ちた花を足のステップを利用して集めながら、ステージ上で整えていく。
ドレディア「ドレディ〜」
オォォォォォォォォ!
するとステージ上に、様々な花の花びらで作られた地上絵が浮かび上がる。多様な形に成形された地上絵は、全ての観衆を驚かせる。
コンテスタ「花の持つ美しさを見事なまでに引き出した、最高のアートです」
スキゾー「いや〜、好きですね〜」
ジョーイ「かき集められたいろいろな花が、正に花の都・パリを表現しているようです」
アカネ「花にもこんな表現の仕方があったなんて、ホントにびっくりですわ」
審査員席の面々は、大型スクリーンに映し出された映像を通して花の地上絵を拝見する。生の眼で見る観衆に比べて伝わる感触は若干劣るが、それでもリリアとドレディアの創り出した花のアートの魅力は伝わっているようだ。こうして、花とバレエを見事に組み合わせたリリアとドレディアのパフォーマンスは、観衆ならびに審査員を目で楽しませて魅了した結果で終了した。
ハルカ「これが、女王(クイーン)のパフォーマンス…」
ヒカリ「あたし、言葉にできないくらい魅了されていたわ…」
デント「花の都・パリにふさわしいビューティフルなテイストだったね」
サトシ達も他の観衆同様、リリアとドレディアのパフォーマンスに魅了されていた。デントに至っては、ポケモンソムリエならではのテイスティングで花のアートを楽しんだようだ。
ビビアン「続いてのトップコーディネーターは、我が国日本から超新星(ニューカマー)として期待がかかる、アイドルトップコーディネーター・マリナさんです!」
一次審査はマリナの番に回ってきた。ビビアンの紹介が終わると、地元人気もあってかここ一番の歓声があがる。もちろん、アイドルヲタクによる熱烈な応援も健在である(笑)
リリア(流石はマリナさん、ここまで地元の方々に愛されて羨ましい限りですわ…)
自らのパフォーマンスを終えたリリアは、マリナの圧倒的な地元人気を微笑ましく思っていた。こういった地元の声というのは、俄然やる気が極限にまで出るものである。
カスミ「いよいよ、マリナの番ね」
ヒカリ「でも、マリナ。浴衣を着て出て来たけれど、一体何のパフォーマンスを魅せるつもりなんだろう」
ケンタ「それに和傘を持っているけれど…」
ビビアンの紹介に促されるようにマリナは登場したのだが、ステージ上に上がった時の姿は普段とは異なっていた。彼女は夏らしく浴衣を着用しており、手には木の骨組みに丈夫そうな和紙が貼られた和傘を抱えていた。
マリナ「会場の皆様に和の心意気を、キレイハナ!」
シュッ! ポォォォォォン!
キレイハナ「ハナァ〜」
マリナはモンスターボールと手にしていた和傘を頭上に高く投げる。モンスターボールからは、若葉が舞い散る様を彷彿とさせるドレスアップとともに、キレイハナが出てくる。キレイハナは登場とともに、高く浮かび上がる和傘を見事キャッチする。マリナとキレイハナによる今回のパフォーマンスは‘和’をテーマのようだが、一体どんなパフォーマンスを魅せるのだろうか…
続く
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河