主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第18話『開幕! 夢の祭典!』
前書き
オープニングセレモニーの様子を描いていきます。
本番は主に、マリナ、ノゾミ、リリアのパフォーマンスをメインに取り上げていく予定です。
リリアとの談笑を終えて、ヒカリが観客席へと戻ってきたのは、オープニングセレモニーの開始時間が目前に迫っていたときだった。
カスミ「随分と遅かったわね。もうすぐ始まるわよ」
ヒカリ「ゴメンね。人混みをかき分けるのに苦労して…、危うくポッチャマとはぐれそうになったわ」
ポッチャマ「ポチャア…」
ハルカ「まぁ、仕方ないわよ。世界中から注目されている‘夢の祭典’なんだから…」
デント「ハハハ、ポッチャマは随分とビターなテイストだね…」
ヒカリとポッチャマは観客席に到着するまで、人混みの中を掻き分けながら進んでいた。ヒカリはポッチャマを離さないように腕に抱きながら進んでいた為、思うように動けなかったとのことである。この‘夢の祭典’がいかに注目されているイベントであるかが伺える。ヒカリとポッチャマは席に着き、今か今かと開演の時を待つ。
バァン! バババァン!
突如、会場じゅうの電気が消され、中央のステージから大きな音とともに演出用の花火が打ち上げられる。そして、様々な色のスポットライトによってステージが交互に照らされ、オープニングセレモニーが始まる。
ビビアン「皆様、大変お待たせしました! 本日、ジョウト地方はコガネシティで開催される‘8人のトップコーディネーターによる夢の祭典’。只今より開演です! 司会は私、ビビアンが務めさせていただきます!」
ステージ中央に、颯爽と司会役のビビアンが登場する。ビビアンはホウエン地方のポケモンコンテストで司会役を務めていることで知られ、今回同じ西国の地であるジョウトということで彼女に白羽の矢が立ったというわけだ。
ビビアン「まずは、この夢の祭典に招待され、皆様を素敵なパフォーマンスで魅了するトップコーディネーターの方々を紹介いたします」
ビビアンが一人ひとり名前を読み上げると、それに続いて読み上げられたトップコーディネーターがステージ上に登場する。そして…
ビビアン「続きまして、フランス・コルドー地方からやって来た世界最高峰のトップコーディネーター。女王(クイーン)・リリア様です!」
オォォォォォ!
リリアの名前が読み上げられると、ひと際盛大な歓声とどよめきが起きる。この歓声とどよめきの大きさは、彼女がコンテスト界で知らない人はいない程のトップコーディネーターであることを物語っている。リリアは自らの名前が読み上げられると、一歩二歩前に出て両手でドレスの裾を軽く持ち上げる。そして観客に向けて深く一礼する。
ヒカリ(流石はリリア様。あたしと出会っていた時とはまるで雰囲気が違うわ…)
ヒカリは先ほど出会った時と比べて、彼女の雰囲気が違っていることに驚愕していた。これは他のトップコーディネーターにも言えることであるが、特に大勢の観衆を目の前にしても物怖じしないリリアの立ち振る舞いは荘厳な何かを感じさせる。
ビビアン「そして最後に、日本期待の超新星(ニューカマー)として招待されました二名のトップコーディネーターをご紹介いたします! まずは地元・ジョウト出身のアイドルトップコーディネーター、マリナさん!」
オォォォォォォォォ!
マリナの名前が読み上げられると、地元出身のトップコーディネーターだけあって他のトップコーディネーターとは違った歓声が沸き起こる。ただ、アイドルトップコーディネーターということも影響しているせいか、一部変わった歓声も上がっているのだが…
デント「地元愛に満ち溢れた歓声、実に素晴らしいテイストだよ」
ハルカ「ジョウトでここまで人気があるマリナってすごいかも!」
アイリス「…一部変なのが混じっているけどね(汗)」
ベル「ああいう人たち、カスミちゃんの時も見かけたわよ」
観客席の面々も、ジョウトにおけるマリナ人気に改めて驚愕する一方、『I LOVE MARINA!』と書かれたTシャツを着用したり、明らかにお手製の団扇を持っていたりと、会場の雰囲気に若干馴染まない連中を見かけて唖然ともしていた。ちなみに、このような連中はカスミの水中ショーの時でも見られ、世間一般的には‘アイドルヲタク’と呼ばれる。
ビビアン「二人目は、北の大地が産んだ‘シンオウのノウブル’。飛ぶ鳥を落とす勢いで頭角を現した、ノゾミさんです!」
オォォォォォ!
マリナ程ではないが、ノゾミの名前が読み上げられると同時に大きな歓声が沸き起こる。アイドルトップコーディネーターのマリナの直後なので、「えっ、誰それ?」といったどっ白けになる雰囲気は免れたようだ。ノゾミもトップコーディネーターとしての知名度を着々と伸ばしている証拠である。
スズナ(ノゾっち、良かったわね。大勢の人がノゾっちのことをトップコーディネーターとして認めている証よ。長年腐れ縁で付き合ってきたあたしとしては嬉しい限りよ)
ノゾミに向けられた歓声を聞き、親心のようにノゾミの成長ぶりを喜ぶスズナ。幼いころからノゾミを知っている彼女だからこそ、観客席に座る面々の中では一番喜びを感じている。
ビビアン「以上、8名のトップコーディネーターが皆様を魅了するパフォーマンスをお見せします。続きまして、審査員席の皆様のご紹介をいたします。まずは審査委員長を務めますコンテスタさん、続きましてポケモン大好きクラブ会長のスキゾーさん、コガネシティのジョーイさん、そして今回スペシャルゲストとしてお三方とともに審査員席に座りますコガネジムジムリーダー・アカネさんです」
コンテスト「8人の素晴らしいトップコーディネーターによる夢の祭典、観衆の皆様と一緒に楽しめればと思います」
スキゾー「好きですね〜」
ジョーイ「今から素敵なパフォーマンスが目の当たりにすることをとても光栄に思います」
アカネ「あたしは今までコンテストとは縁遠い人生でしたが、違った世界観を見ることができるということでとてもワクワクします」
審査員席に座る面々の名前が読み上げられ、それぞれ今回の夢の祭典に向けて、観戦の意気込みのようなものを述べる。ただ、スキゾーはいつもの調子であったが…
カスミ「アカネさんも審査員なのね」
ハルカ「ちょっとびっくりかも」
観客席にて、アカネが今回の‘夢の祭典’の審査員の一人である事実を知らなかった面々は少し驚いていた。尚、審査員として事前にスペシャルゲストが招待されるということが告知されていたのだが、それが誰かということは一切公表されておらず、審査員席にアカネが座っていることに気付いた観衆は、どよめきの声をあげていた。たった一日であるが、いろんな意味で波乱の予感がする‘夢の祭典’である。
続く
後書き
次回、ポケモンとコーディネーターとのコンビネーションが試される一次審査が始まる!
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河