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主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~

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第20話『和の心と涼の安らぎ』

前書き

「和」をテーマにしたパフォーマンスに挑む、マリナとキレイハナ。キレイハナは手にした和傘でどんなパフォーマンスを魅せるのだろうか…


タイトルの中にある‘涼の安らぎ’というのは、ノゾミのパフォーマンスに関係してきます。あと、今更ですがアカネの口調を公の場での礼儀として、少々変えています。違和感を感じる方は申し訳ありませんが、ご容赦ください。




キレイハナ「ハナァ、ハナ〜」


 マリナから投げ渡された和傘を手にしたキレイハナ。その立ち姿は、着物を身に纏ったエンジュの舞妓はんを彷彿とさせる。


マリナ「キレイハナ、ゆったりと和の心と美しさを楽しみましょう」


キレイハナ「ハナァ」


 マリナが指示すると、キレイハナはゆっくりと和傘を広げ始める。ここまで早いテンポで進められた一次審査にある種の落ち着きを与える光景である。


マリナ「はなびらのまい!」


キレイハナ「ハナァ! ハナァ〜」


 ‘はなびらのまい’を駆使してパフォーマンスを魅せる、ここまではリリアのドレディアと同じパターンである。ただ違うのは、バレエと日本舞踊という点である。


キレイハナ(ハナ、ハナァ、ハナァ…)


 キレイハナは‘はなびらのまい’を見事に駆使して、日本舞踊を表現する。時々、タイミングを見計らっては花びらを出す量を多くしたり、‘あまいかおり’で香りでも楽しめるようにしたりと、随所に工夫を凝らしている。


マリナ「キレイハナ、リーフストーム」


キレイハナ「ハナァ、ハァァァナ」


 ‘リーフストーム’によって、ステージ上に散らばっていた花びらが跳ね上げられてキレイハナの周りを舞う。その光景はどこか、幻想的な雰囲気を漂わせる。


キレイハナ「ハナァ」


 ‘リーフストーム’の風に乗せて、キレイハナは自らが持っていた和傘を頭上へと投げる。風に乗った和傘はキレイハナの頭上を遙か高く上がっていく。時間が経ってリーフストームが止み始めると、和傘は柄の部分を下にしてゆっくりと降下していく。


キレイハナ「ハナァ! ハナナァ」


 キレイハナの手の届くところまで和傘が降下すると、キレイハナはその和傘を手にして最初に開いた時と同じようにゆっくりと和傘を閉じる。最後に決めポーズをして、パフォーマンスを終えた。


パチパチパチ!


 目と鼻で楽しめる「和」のパフォーマンスは、観衆にも好意的な印象を与えたようだ。観衆からは割れんばかりの拍手が巻き起こる。マリナとキレイハナのパフォーマンスは、現代人が忘れかけている何かを呼び起こさせるようなものだった。


コンテスト「私達が忘れていたものを思い出させる素晴らしいパフォーマンスでした」


スキゾー「いやぁ、好きですね〜」


ジョーイ「私達日本人が持つべきものを呼び起こさせてくれた。そう思わせるキレイハナのパフォーマンスでした」


アカネ「わたしも心を和ませてもらいました。キレイハナの演出した「和」の心意気、しっかりと感じさせてもらいました」


 審査員の面々にも、好意的な印象を与えたようだ。四人とも、マリナとキレイハナの織り成す「和」の美しさの虜になったようだ。


ビビアン「「和」の美しさが身に染みる素晴らしいパフォーマンスでした。続きましては、一次審査の大トリを務めます、シンオウはキッサキシティが産んだ、二人目のニューカマー・ノゾミさんです!」


オォォォォォ!


 マリナ程ではないものの、ビビアンの紹介に続いてノゾミにも観衆から歓声が上がる。コンテスト界でノゾミがどれ程の期待を背負っているのかが伺える。


ヒカリ「ここまで7人ものトップコーディネーターのパフォーマンスを見て来たけれど、どれもあたし達には到底まねできないくらいレベルの高いものだったわ…」


スズナ「今まで沢山の期待を受けてきたうえに、一次審査の大トリを務めることになったノゾっち。ノゾっちはこういったプレッシャーには強い方だけど、今回どう乗り越えていくのか見物ね…」


 大トリということもあって、それだけ観衆の注目度も高い。凄まじいプレッシャーを背負っているノゾミのことを案じるスズナであったが…


ノゾミ(予想以上に凄いプレッシャーだね。だけど、何故だか知らないけれどこういった雰囲気が楽しくなってきたね)


 スズナの心配をよそに、ノゾミは自らに圧し掛かるプレッシャーを楽しんでいるようだった。この気持ちは幾多もの試練を乗り越えてきた百戦錬磨の猛者たちが味わえるものである。


ノゾミ「さぁ、気合入れていくよ! Ready, go!」


 ノゾミは颯爽とステージ上に姿を現す。その瞬間、歓声は最高潮に達する。尚、現在のノゾミの服装は上はハナダの水中ショーで着用したオリジナルTシャツ、下はハーフパンツと、涼しげな印象を与える。


ノゾミ「行くよ、ウリムー! Ready, go!」


シュッ! ポォォォォォン!


ウリムー「ウリィ! ウゥゥゥリュウウウウウ!」


 ノゾミの投げたモンスターボールからは、元気よくウリムーが飛び出してきた。ウリムーは登場と同時に‘こなゆき’を放ち、涼しげな印象を与えるパフォーマンスを演出する。


デント「ん〜、実にクールでフレッシュなテイストを感じさせるよ」


アイリス「涼しくて心地良い感じだわ」


 観客席は心地良い涼しさに包まれ、一気に観衆の心に安らぎを与える。ウリムーの‘こなゆき’は、毎日真夏日を記録するこの季節において実にうってつけのプレゼントであったことだろう。一次審査は、このように直接観衆、審査員にパフォーマンスで働きかけて心を掴むことも重要である。


ノゾミ「ウリムー、ステージ一体にれいとうビーム!」


ウリムー「ウリィ! ウゥゥゥリュリュリュリュリュ!」


 ウリムーは‘れいとうビーム’で、ステージ全体を凍らせて即席のスケートリンクを創り出す。


ノゾミ「ここからはウリムーの独壇場だよ。自由に滑っておいで」


ウリムー「ウリュ! ウリュッ、ウリュ〜」


 凍ったステージの上を、ウリムーが自由自在に滑りまわる。時々、凍らせる際に歪な形状になった氷の塊をスノーボードのハーフパイプの要領で高くジャンプするなど、自分の思うままに動いている。一見すると、単にフィギュアスケートとスノーボードを組み合わせたパフォーマンスで、今までのトップコーディネーターと比べて地味な印象を受けるが、自由に動き回らせているところでウリムー自身が持つ可愛らしさを最大限に表現している。観衆ならびに審査員も、ウリムーを目で追いながら可愛らしさを感じ取っている。


ノゾミ「見に来てくれた方々にさらなるプレゼントをお届けするよ。ウリムー、しろいきり!」


ウリムー「ウリュ! ウリュウ〜」


 ウリムーはステージ中央で一旦動きを止めると、天井に向けて‘しろいきり’を放つ。ステージは真っ白な霧に包まれ、ウリムーもろとも観衆、審査員の視界から消える。


ヒカリ「ノゾミ、ウリムーのしろいきりでステージを覆ったりして…。何をするつもりかしら…」