主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第32話『遠い海の彼方から』
前書き
サトシ空中浮遊事件は、一瞬で解決します(笑)
第29.5話を読んだ方なら、真相は大方予想できますが…
サトシが空中浮遊をしたまま、どこかへ飛んで行ってしまったのを追いかける仲間達。だが、野次馬の人混みに邪魔されたのもあってサトシを見失ってしまったようだ。
ヒカリ「ハァハァ、サトシはどこへ行ったのよ〜(汗)」
アイリス「もう、何が何だかさっぱりだわ」
デント「こんなアンビリーバブルなテイストは初めてだよ。でも、まずはサトシを見つけて無事を確認しないと」
ケンタ「そうだな。けどこれと言って手がかりなんて全くないし…」
サトシを見失ってからというものの、必死になって探すも未だ見つからず。仲間達の身体には疲労が募るばかりである。
???「カスミ〜!」
カスミ「? カノン!? どうしてここに!?」
ハルカ「だ、誰?」
途方に暮れていた面々のもとに、カスミの名前を呼びながらある人物が向かってくる。その人物は、サトシを尋ねてアルトマーレを旅立ったばかりのカノンであった。彼女は手を振りながら、面々のもとへと駆け寄ってくる。
カスミ「どうしたのよ、カノン。急にあたしの名前を呼ぶ声が聞こえて振り向いたら、びっくりしたわよ」
カノン「びっくりさせちゃって、ごめんね。今日からしばらくおじいちゃんからお休み貰ったから、旅に出ようと思ってね。それと、この人たちは?」
カスミ「あっ、みんな一緒に旅をしている仲間よ。みんな、この子はカノン。アルトマーレに住んでいるの」
カノン「はじめまして、私はカノン。よろしくね」
カノンは、カスミに促されて自らの名前を名乗る。カスミ以外の面々はカノンの自己紹介の後、それぞれカノンに向けて自己紹介をする。自己紹介を終えた後、カスミはふとあることに気が付く。
カスミ「ねぇ、カノンがいるってことはあのコも一緒にいるの?」
カノン「そうだけど…って、いけない! そういえば、船を降りる直前にはぐれたんだった」
カスミ「はぁ、それで分かったわ」
ヒカリ「えっ、ええ!? 話がまるっきりみえてこないんだけど」
カスミとカノンの会話についていけない面々の為に、カスミはカノンと一緒にジョウトに来たことが分かったラティアスについて説明する。ついでに、カノンにサトシが突然空中浮遊をしてどこかへ飛んで行ったことも話す。
ハルカ「いろんなものに変身できて姿も消すことが出来るラティアスね。てことは、サトシが飛ばされたのもそのラティアスが!?」
カスミ「おそらくね…」
カノン「もう! ラティアスったら、突然飛び出したと思えばサトシ君達に迷惑かけて! 見つけたらうんと叱らなくちゃ!」
サトシが空中浮遊の後にどこか遠くへ飛んで行った真相は、カノンとともにジョウトに来たラティアスの仕業ということで皆合致した。カノンはそんなラティアスの悪戯にかなりご立腹であったが、決してラティアスは悪意があってこのような行為に及んだというわけではなく、本能ゆえの行動であることはここで伝えておこう。
ケンタ「だとしたら、尚更早く見つけないとマズイな」
マリナ「ラティアスは伝説のポケモン。ポケモンハンターにでも狙われたりでもしたら、大変なことになるわ」
事がさらに大事になっていると察知した面々は、一息いれる間もなく手分けしてサトシとラティアスを探す。しばらく探し回っていると、ヒカリ、ケンタ、マリナが、サトシとラティアスを見つけた。
ケンタ「大丈夫か! サトシ…って、これは一体どういうことだ!?」
サトシ「あぁ、何とかな。というか、この状況を見て驚くなって言う方が無理だよな」
マリナ「ねぇ、サトシ。隣にいるのってラティアスよね?」
サトシ「当たり。今はこんな姿だけど…」
見つけたところまでは良かった。ただ、サトシの隣にいるラティアスの姿を見て、ヒカリ、ケンタ、マリナの三人は言葉を失うくらいに驚きを見せる。
ヒカリ「あ、あたしが、二人!?」
特にヒカリが一番の驚きを見せていた。無理もない。何せサトシの隣にいるラティアスであろうポケモンが、自分の姿に変身していたのだから。ちなみに、ラティアスが変身したヒカリは、緑色のシャツに緑色の短パンと一生を子供のまま成長しないどこぞの森の民族を彷彿とさせる姿であった。
ケンタ「しかし、ラティアスの変身した姿には驚いたぜ」
マリナ「カノンから聞いてはいたんだけど、これほどまでに忠実な姿だとは思わなかったわ」
サトシ「えっ!? カノンも来ているのか!? って、ラティアスがいるんだったらカノンもいるか」
ヒカリ「今、あたし達と同じようにサトシとラティアスを探しているわ。それにしても…」
ヒカリに変身中のラティアスを見て、心底驚いた様子の面々。特に自分が変身対象となっているヒカリは、当然のことながら誰よりも気になっているようで、
ヒカリ「あたしそっくりに返信できているのは嬉しいけれど、こうして見ると何だか複雑だわ…」
マリナ「アハハハ、そうね。私ももしヒカリと同じ立場だったらそう思うかも…」
自分の姿に変身しているラティアスに対して複雑な思いを抱くヒカリであった。そんな中、カノンがサトシ達の姿を見つけてこちらへ駆け寄ってくる。
カノン「ラティアス! 急に飛び出していったと思ったら、サトシ君たちに迷惑かけて! 駄目じゃない!」
ラティアス(ヒカリ)「……」
変身したラティアスを見つけるや否や(瞬時にヒカリとラティアスを見分けたw)、サトシ達に迷惑をかけたとしてラティアスを叱るカノン。ラティアスはカノンに叱られたことで、顔を俯かせる。
サトシ「カノン、その辺で許してやれよ。ラティアスだって悪気があってやったわけじゃないんだしさ」
ヒカリ「叱りたいのは分かるけれど、あたしもその辺で終わらせたほうがいいわ。それに、なんだかあたしが叱られているみたいであまり良い気分じゃないわ…」
カノン「あっ、ゴメンね。ヒカリ。でも…」
サトシ「それに、俺はカノンやラティアスとこうして会えて嬉しいぜ。ヒカリ達と合流するまで、楽しくラティアスと遊ぶこともできたしさ…」
カノン「う〜ん、わかったわ。ラティアス、今回はサトシ君たちに免じて許してあげる。その代り、今度からは気を付けるのよ」
ラティアス(ヒカリ)「〜♪」
カノンから許してもらえたことで、大層嬉しそうな態度を示すラティアス。その後、他の仲間達とも合流し、カノン、ラティアス(ヒカリからカノンの姿に変えた)を加えたメンバーでポケモンセンターへと戻っていった。だが、ポケモンセンターへ入った直後、どこから嗅ぎつけてきたのかマスコミ関係からサトシが質問責めにあったというのは別の話。
続く
後書き
翌日の朝刊に『アサギシティにて、空中浮遊の少年!』として記事が掲載され、全国区でサトシの名が知れ渡ることになろうとはこのとき誰も知らなかったのであるw
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河