主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第57話『ポケモンセンターを奪還せよ! 後編』
前書き
フルーラとカノン、ポケモンセンター奪還へとロケット団を一気に追いつめる!
しかし、劇場版のヒロインがこんなバイオレンスなわけが…あったのです(笑)
フルーラ、カノン達がロケット団を潜水艦ごと吹き飛ばしていたその頃、ポケモンセンターでは中にいるロケット団が外の異変に気付いていた。
ナンバ「なんじゃ! あの黒い煙は!」
コサブロウ「おいおい、あそこは俺達の潜水艦が停泊しているとこからじゃねえか!」
ヤマト「一体何があったっていうのよ」
正面玄関の扉越しに自分達が潜水艦を停泊させている海岸から黒い煙が立ち込めていることに気付く。あまりの突然のことに冷静さを失いつつあるようだ。
一方、海岸のロケット団を一掃させることに成功したフルーラとカノン。急いでポケモンセンターへと戻り、ロケット団に見つからぬように内部の様子を確認する。
フルーラ「中の様子は変わってないわね」
カノン「今のうちにみんなを助けなきゃ。フルーラ、今度はこの子たちの出番よね」
フルーラ「えぇ、まずはアイリスのタッツーからよ。タッツー、‘煙幕’をお願い」
フルーラはタッツーを排気口に向けて煙幕を出すよう指示する。タッツーから吐き出された‘煙幕’は排気口からポケモンセンターへと入っていく。
コサブロウ「!? うっ、なんなんだこの煙は!」
ヤマト「ゴホッ、ゴホッ、一体何なのよ!」
ポケモンセンター内に侵入した‘煙幕’はたちまちロケット団の周りを覆い尽くす。何故か‘煙幕’は人質の方へはいかずに彼らだけを覆っているが、これはラティアスによるものである。
ナンバ「か、換気をするのじゃ!」
ナンバの一言でヤマトとコサブロウは窓を開ける。窓を開けると同時に2人は窓から一気に顔を出す。
ヤマト・コサブロウ「「ぷはぁー、ゴホゴホ」」
フルーラ「……」
カノン「……」
尚、目の前には少し太めの木の棒という物騒なものを持ったフルーラとカノンの姿がある。窓を開けた当初は目をつむっていたために彼女たちの姿に気付かないヤマトとコサブロウであったが、目を開けた瞬間に彼女たちの姿に気付く。
ヤマト「な、なんなのよ。アンタt…!?」
フルーラ・カノン「「それー!」」
バコォォォォォン!
フルーラとカノンは、窓から顔を出したヤマトとコサブロウ目がけて木の棒を思いっきり振り回す。木の棒はありえないくらいに大きな音を出しながらヤマトとコサブロウの目頭当たりに命中した。念のため言っておくが、やたらむやみに他人を何らかの方法でシバくのはやめよう。特に目のあたりは失明の恐れがあるので、人間関係の崩壊、慰謝料諸々を請求等されたくなかったら絶対にしないように。
ヤマト・コサブロウ「「痛ったあああああああぐへっ!?」」
顔をおさえ痛がるヤマトとコサブロウ。その二人をフルーラとカノンは踏み台にして窓からポケモンセンターの中へと侵入し、人質のもとへと向かう。
カスミ「フルーラ! カノン!」
フルーラ「助けに来たわ、みんな!」
アイリス「でも、あれはちょっとやり過ぎじゃない? なんか叫び声あげてるし…」
コサブロウ「あああ、目がぁ、目がぁ!」
窓の近くではあまりの痛さに目を押さえながら悶えているヤマトとコサブロウの姿があった。コサブロウに至っては、ム●カ現象が起きている。
カノン「わ、わたしはやめようって言ったんだけどね。ほかの方法が思いつかなかったから仕方なく…」
フルーラ「まぁ、みんな助けることができたんだからいいじゃない。結果オーライってことで♪」
デント「南の島の巫女がそんなバイオレンスなことやっていいのかい?」
フルーラ「…てへっ♪」
ベル「フルーラちゃん、なんか怖い……」
フルーラは舌を出して可愛らしく表情を浮かべるが、可愛い顔とは裏腹にこんな恐ろしいことを考え付いた彼女に恐怖心を覚えるとともに味方でよかったと安堵する一同であった。そうこうしているうちに、人質たちの拘束は解かれて救出に協力したポケモン達はそれぞれの主のところへと戻る。
カスミ「シェルダー!」
アイリス「タッツー!」
ベル「パウワウ!」
カノン「わたしとフルーラだけじゃないわ。この子達も協力してくれたから上手くいったの」
アイリス「ありがとう、みんな。でも、タッツーはさっきの‘えんまく’で分かるけどシェルダーとパウワウは?」
フルーラ「あっちを見て。カスミたちと話している間に、ね」
フルーラが指差す方向には、先ほどまであまりの痛さに奇声ともいうべき悲鳴を発していたヤマトとコサブロウが氷漬けになっていた。どうやら、シェルダーの‘こおりのつぶて’とパウワウの‘こごえるかぜ’を食らったようだ。
アイリス「どうりでちょっと寒気がするわけね、うぅ」
デント「フルーラ、君は意外とデンジャラスなことをするんだね」
ベル「フルーラちゃん、やっぱり怖い…」
手際が良いというかなんというか、末恐ろしい南の島の巫女である。そもそも、木の棒で人の顔を殴るなど10代前半の少女がすることではない。
ガシャリィィィィィン!
コサブロウ「なにしやがるんだ! てめぇ!」
ヤマト「あたし達を殺す気かい!」
氷を渾身の力で砕き割り、中からいろいろとひどいことになっている二人が飛び出してきた。額や鼻から大量の血が流れており、いつ失血死してもおかしくない状態だ。
フルーラ「ちゃんと急所は外したわよ」
ヤマト「そういう問題じゃないわよ。あぁ、痛すぎて前が見えない…」
氷から脱出して立ち上がるヤマトとコサブロウであったが、ここまでボコボコにされてよく立ち上がれるものだ。
コサブロウ「小癪な…」
ヤマト「あたし達を本気で怒らせたこと後悔させてあげるわ」
あまりの痛さに視界を遮られながらも、ポケモンを出して反撃にかかるヤマトとコサブロウ。しかし奇襲をかけられたこの状態では風前の灯であり、
カスミ「シェルダー、うずしお!」
アイリス「タッツー、バブルこうせん!」
ベル「パウワウ、オーロラビーム!」
解放されたシェルダー、タッツー、パウワウの一斉攻撃をポケモンたちとともに受けてしまう。何とも情け容赦のない攻撃だこと…
コサブロウ「ぐはっ!?」
ヤマト「せっかくいいところまでいってたのに〜」
コサブロウ・ヤマト「「やな気持ち〜!」」
ナンバ(わし、いつの間にかほったらかしになっとるのう…)
いつものように捨て台詞を叫びながら、ナンバやほかの下っ端たちとともにポケモンセンターの天井を突き破って真っ昼間に光る星となった。任務に失敗した挙句に顔面に大けがを負った哀れなヤマトとコサブロウであるが、それよりももっと哀れなのはいつものように名前を間違えられることがないくらい空気と化していたホッパー(ナンバじゃ! by.ナンバ)…失礼、ナンバであろう。
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河