君のせい
1限目が始まる前、
俺の席にドンと女子がぶつかってきた。
「っ痛ぇ…」
「あっ、ごめんっ馬村くん。」
「いや…」
オレは体勢を立て直した。
「……。」
それを猫田が変な顔で見ていた。
「?…なんだよ。」
「馬村くん、赤面症治った?」
「は?」
「あ、ホントだ。
女子がぶつかったのに赤くない。」
猿丸もオレの顔を見て
物珍しそうに言った。
そう言われてみれば、顔が熱くない。
マジで?治った?
「えっそうなの?
よかったじゃん、馬村。」
と言ってアイツがオレの顔をのぞき込んだ瞬間、
「カァァァァッ」と音を立てるように
体温が上昇した。
「あ。」「えっ」「は?」
バッとオレは顔を腕で隠して
「保健室行ってくる!」
と教室を飛び出した。
治ってねぇし!
ていうか、あんなに顔を近づけるとか
アイツ、マジ反則!
ガラガラガラッ
保健室は誰もいなかった。
「ちょうどよかった…」
オレはホッとした。
先生に適当な説明するのも面倒臭え。
とりあえず恥ずくて教室にいられねぇから
落ち着くまで寝させてもらおう。
「…らぁっ」
「ん?」
何か聞こえた?
「馬村ぁっ!」
バンッとアイツが入ってきた。
「バッ、お前、何ついてきてんだよ!」
「え、だって熱かと思って…」
「違ぇよ。1限始まるから戻れよ。」
お前がいたら休めるもんも
休まれねぇだろーが。
「でも顔赤いよ?」
「これはっ…いつものやつだからいんだよ。」
「え、でも治ったって…」
あーーもう!
「あのなぁ!」