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興味と関心 前編

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「その話、詳しく
 教えてくれませんか。」

その名前も知らない男は、
私の肩を掴み、
目を少年のように輝かせて、
期待した顔で尋ねた。

「え…興味あるんですか?
 少女誌ですよ?」

「えっ、はっ!すみません。
 アヤシイですよね…」

「や…期待するほどの話は
 ないと思いますが。」

「例えば、どんな人がいらっしゃる…?」

「それは…ベルばら描いた先生や
 歴史モノ描いた先生がいるのか、
 ということが聞きたいんですか?」

「……。
 バレバレっすね。」

その男はなんとも恥ずかしい、
というような顔をしていたが、
編集の仕事などをしていると
そういう男は珍しくない。

「昨日お邪魔した時に見たので。」

「ベルばらや三国志の漫画読んで
 社会の教師になったくらいでして。」

「え、教師?!」

「見えませんか。」

もっとチャラそうな職業を想像していた。

「はぁ…
 あ、もう行かないと。」

「え、あ…」

もっと詳しく知りたいのに、という顔で
その男は残念そうにした。

失礼な男だ。

私にはこれっぽっちも興味がないらしい。

昨夜は部屋で一緒に飲んだというのに。

……

ん?

私はこの男に自分に興味持ってもらいたいの?

知り合ったばかりなのに?

何言ってるんだろう。

それにこの男は誰かの影を
まだ残していそうじゃないか。

「じゃあ、行きます。」

「行ってらっしゃい。」

こういう男は深入りすると
ろくなことがないんだ。

私は後ろも振り返らず
謝恩会会場へと急いだ。

作品名:興味と関心 前編 作家名:りんりん