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不釣り合いな僕達 一

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忍術学園から少し離れた道で一人の子供が誰かを待っていた。
いつもの赤い木綿の制服姿ではなく、トレードマークの赤いサングラスも外している。
今日は彼が通うドクタケ忍術教室も忍術学園も休日。
そこでドクタケ忍術教室の生徒・ドクたまのしぶ鬼は、手紙を出して忍術学園の忍たまと会う約束をしていた。
忍術学園とドクタケ忍術教室を造ったドクタケ城は仲が悪いため、忍者のたまご同士でも仲良くするのを大人達は良く思っていない。
だが当の子供達、特に人数の少ないドクたま達にとっては数少ない同年代の知り合いであるため、時折休みの日に内緒で遊んだりしている。
内緒とはいっても相手はプロの忍者、完全に隠し通せているのかはわからない。

「庄左ヱ門、まだかなー。

しぶ鬼は待っている忍たまが来る道から視線を外さないまま、もたれかかっていた木の幹から体を起こした。
庄左ヱ門とは、以前お互いのクラスメイトを尾行した先で鉢合わせて以来、彼の趣味のお茶を楽しむ仲になった。
しぶ鬼が庄左ヱ門のリーダーとしての冷静さを学ぶために始めたのだが、いつしか二人の息抜きの時間を過ごすための口実になっていた。
未だに庄左ヱ門の点てたお茶の味には慣れていないけれど。

「…、あっ!
「おーい。

道の先から目当ての人物が見えてしぶ鬼は顔を綻ばせた。
向かってくる庄左ヱ門も手を振り進ませる足は軽快だった。

「庄左ヱ門、よっ。
「ごめん、待たせちゃって。
「いいんだよ。ぼくが早く来ただけなんだから。

しぶ鬼が笑いかけると申し訳なさそうな庄左ヱ門もパッと笑顔になった。

「今日は庄左ヱ門、来てくれないかと思ったよ。
「えっ、どうして?
「一応ぼく達、敵同士だろ?実はこうやって会う時はいつもそう思ってたんだ。
「しぶ鬼…。
「ごめん。楽しい休みなのに変なこと言って。
「ううん。変なことじゃない。ぼくだって時々しぶ鬼からの誘いが罠なんじゃないかって疑うから…。
「庄左ヱ門…。
「…さ、早くいいところ見つけよう!

しぶ鬼の本音から一時重い空気になるが、庄左ヱ門の明るい口調で気分を切り替えた。
二人は敵同士、相手の隙をついて謀略する忍者の世界。
いつまでこうして庄左ヱ門と会えるのだろうと考えると、しぶ鬼は胸にもやがかかるような息苦しさを覚えた。
作品名:不釣り合いな僕達 一 作家名:KeI