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はろ☆どき
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novelistID. 27279
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-Honey and Sweets?-

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「大佐」
しばし沈黙が訪れた後、耐えきれなかったのか子供が呼んでくる。
「なんだね、鋼の?」
さらさらと書類にサインをする手は止めずに返事をすると、子供の気配がソファーから近づいてくる。顔を上げると机のすぐ前にいた。
「あんたはお菓子くれねーの?」
分かってやっているのだか、こてりと首を傾けながら訊ねてくる。これを今日一日司令部中でやっていたのだろうか。破壊力がありすぎる。
来年は事前に連絡が入ったら、いや、連絡がくる前にこちらから捕まえて文献を餌に自宅へ閉じ込めておこう。お化けや妖怪よりも、たちの悪い人間にちょっかいを出されたりしたら困る。
そう心に刻みながら口を開く。
「生憎、菓子の用意はないんだ。代わりに夕食を……」
「ならイタズラだな」
ロイが言いかけた言葉を遮ると、エドワードは机越しに身を乗り出して襟元を掴み顔を引き寄せた。
「Happy Halloween」
唇が触れたのはほんの一瞬で、柔らかな甘い感触を味わう暇もなかった。
「……美味いパンプキンパイの物色もしていたんだが、甘いものは足りているようだな。夕食にカボチャのシチューと上等な肉を出す店に行こう。その後、私の家でその山のような菓子の吟味をするというのはどうかな?」
「あんたの仕事がちゃんと定時で終わったらな」
オレが中尉と約束したのはそこまでだし。
そう呟きながら、エドワードはくるりと後ろを向いてソファーへと戻ってしまった。耳や首が赤くなっているのを見逃したりなどしなかったけれど。
「もちろん終わらせるとも。私を誰だと思っているんだい?」
恋人にイタズラを仕掛けられて奮起しない男などいない。そのことを証明するためにも、気合いを入れ直して書類のチェックを再開する。
頭の片隅では店の予約を何時しようかと算段しながら。
その後、エドワードが美味いシチューを味わうことができ、ロイがエドワードと甘い時間を過ごせたのかはまた別のお話。


―Honey and Sweets?―
甘いものしか選択肢のなかったある年のハロウィンのこと。
翌日のロイの機嫌の良さとエドワードの盛大な挙動不審ぶりに、二人はあまーい夜を過ごしたに違いないと周囲の者は確信したのだった。


ーfinー

作品名:-Honey and Sweets?- 作家名:はろ☆どき