嫉妬と不安 1
いくつかの料理とお酒を互いに頼むと、すずめはトイレに行った。
やべー、まさかこんな所で会うとか...。
獅子尾は、会えたことへの喜びを実感していた。
もう大丈夫だと、思っていたものの、
いざ会うと全くダメだった。
まだ、すずめが好きだと感じる。
ていうか、ちゅんちゅんが断りにくいように誘うとか...。
俺ってほんと大人気ねぇ...。
そもそも、まだ馬村と付き合ってんだよなぁ...。
獅子尾は、すずめに振られてからは前のように諭吉のカフェに行っていたため、馬村とすずめが、まだ付き合っていることを諭吉の話から知っていた。
まぁ、そもそも、ゆきちゃんから聞かなくともあの2人が別れるとは思ってなかったけどね...。
獅子尾が心の中でそんなことを考えていると、すずめが帰ってくると同時に、頼んでた料理とお酒が運ばれてきた。
「まー、とりあえず乾杯!」
獅子尾が音頭を取り、二人でグラスをコンっとくっつけ、ぽつりぽつりと会話を始めた。
最初は二人ともよそよそしさがあったものの、高校時代の話や、現在の話に花を咲かせ、お酒の力もあってか、盛り上がっていた。
「そーいえばそんなこともあったなぁ!」
「懐かしいですねぇ。」
なんて話していると、すずめは二杯目にして酔いが回ってきていた。
やばい...。そろそろ帰ろうかな...。
頭がフワフワしてきたのを感じ、獅子尾に別れをつげようとすると、
「そういえば何で今日一人なの?」
と、尋ねられる。
「え、っと...。」
馬村にドタキャンされたからです。
なんて、言うのは獅子尾に対して失礼なのでは?
と、言っていいものなのか考えていると、それを見透かされるように
「何?馬村となんかあったの?」
と、問いかけられる。
「いや、あの...」
「...よければ話聞くよ?」
「え...。」
すずめは困惑していると、
「さっきも言ったでしょ。もう時間も経ったし。」
すずめはどうしようか。
と、思ったものの、酔いが回ってきてるせいか思考がうまく回らず、
あーもーどうにでもなれー。
と、話し始めた。