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馬村はバイトが終わり携帯を見ると、
時刻は23時をまわろうとしていた。

ガクリ。と肩を落とし、帰路につこうとすると、
プルルルルル。
携帯の着信に気がついた。
表示を見ると、゛与謝野すずめ゛と書かれている。

｢もしもし？｣
『あ！良かった、出てくれて。えーっと、獅子尾だけど。
ちょっとさ...』
｢は！？なんでテメェがあいつの携帯使ってんだよ！あいつはどうしたんだよ！｣
獅子尾が全てを言いきる前に、馬村は怒鳴りつけた。
『わ、ちょ、そんな怒鳴んなって！ともかく、詳しいことは後で話すから！ここまで来い！』
プツリ。
そう言うと電話は切られてしまった。
するとすぐに、居場所を知らせるメールが送られてきた。
またも、すずめの携帯から。

｢クソ！！！｣
馬村はメールを見ると、返信もせずに、走り出した。

獅子尾が送ってきたであろう住所は、馬村がいる場所からそう離れてはおらず、走って15程度でたどり着いた。

そこは、何となく見覚えのある居酒屋だった。
ここ、この前あいつが酔っ払って入ろうとしていたところか...。

馬村はドアに手をかけたが、開けようとしている手を止めた。
何故あの二人が一緒にいるのか。もしかしたら...。
脳裏に不安がよぎるが、すずめを信じてドアを開く。

ガラララ。

目の前のカウンターに、獅子尾。
その右の席には、机に突っ伏してる長い髪の女性がいた。

馬村が獅子尾の元にズンズン歩いていくと、
｢お、やっと来たか...。あ、ちゅんちゅんは寝てるだけだから安心して。｣
と、少しやつれた顔の獅子尾が話しかけてきた。
｢寝てんのは見ればわかるわ！それより、なんでテメェがコイツと一緒なんだよ！｣
今にも胸ぐらを掴み、殴りかかりそうな勢いで、馬村は問い詰める。
｢落ち着けって。とりあえず座れよ。｣
獅子尾に諭され、馬村は大人しく左側に座った。