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se raser

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 総帥府へ赴くと、ナナイをはじめとした女性スタッフの目が、驚きに見開かれた。
「総帥。本日は撮影に際しての化粧は不要と致します。今日の総帥のお顔の色と言い艶と言い、今までになく素晴らしいものがございます。それをドーランやファンデーションで覆うのが、非常に勿体ないと・・・」
髪のセットや化粧を担当するスタッフがそう述べてきたので、私は殊更に笑みを浮かべてやった。
「そうだろう? 今朝はアムロが髭を剃ってくれたのだよ。蒸しタオルを使って、とても優しくね」
それがこの結果なのだろうと続けると、ナナイがげんなりといった表情をするなり、くぎを刺してきた。
「式典に臨まれます時には、その幸福に緩み切った表情をネオ・ジオン総帥用へと切り替えて下さいますように、くれぐれもお願いいたします」

 どんな嫌味も悪意も、今日の私には痛痒を与えないだろう。
何よりも素敵なプレゼントを、朝一番に手にしたのだから。
そして、そのプレゼンターが居てくれる限り、私は無敵でいられるのだから。

2015.11.16
作品名:se raser 作家名:まお