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機動戦士ガンダムRSD 第11話 選びし道

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 ウルフ少尉が暗号を解読し終わりマーカー艦長に報告した。
「まだこっちは、物資も全て積み終わってないのに」
 マーカー艦長が現場を知らない司令部勤務の指揮官を恨んだ。
「所詮私たちは、彼らの名誉を高める道具でしかないんです」
 その声にマーカー艦長たちが振り向くとサオトメが敬礼していた。
「何しに来た?
まさか冷やかしに来たのか?」
 マーカー艦長が悪態をつきながら質問した。
「物資の補給ですが後3日は、かかります」
 サオトメが物資の搬入状況を報告した。
「遅すぎだ。
もう総司令部から命令も出たんだぞ」
 マーカー艦長がサオトメに怒鳴った。
「分かっております。
しかしどう頑張っても明朝までに全ての物資を搬入することは、不可能です。
艦長は、どう判断いたしますか?」
 サオトメは、マーカー艦長に判断を仰いだ。
「マドラス基地でどうしろとかの命令は、なかったのか?」
 マーカー艦長は、ストラー少尉に質問した。
「いいえ。
ただマドラス基地に向かえとしか命令は、ありませんでした」
 ストラー少尉が質問に答えた。

            ※

「そんな」
 オーブ首長国連邦の行政府では、カガリが絶望していた。
「積極的自衛権の行使などとは、言ってはいますが戦争は生き物です。
放たれた火が何処まで広がってしまうかなど誰にも分かりません。
我等は、地球連合との同盟条約を締結します」
 ユウナが同盟締結を宣言した。
カガリは、どこか諦めていた。
「再び国を灼くという悲劇を繰り返さぬ為にもね」
 ユウナが今一度地球連合との同盟を結ぶ理由を言った。
「わかった。
地球軍との同盟を締結しよう」
 カガリは、決心し言った。
首長達はカガリの判断にエールを送り拍手をした。
「しかしこの同盟は、『他国を灼くため』ではなく『自国を灼かないため』であることを忘れないでほしい」
 カガリは、首長達に同盟の根本を言った。
「我々は、ユーラシア連邦と大西洋連邦の暴挙をブレーキ役である。
そしてこの同盟が今後地球国家のさらなる促進になることを切に願う」
 カガリは、自分たちの役割と国の発展を願った。

             ※

 α艦隊とトリントン基地は、まずマドラス基地に通信を入れてみることにした。
「駄目です。
地球軍側の警戒レベルが上がっているのか通信妨害が激しくレーザーでもマドラス基地にコンタクト出来ません」
 ストラー少尉がマーカー艦長に通信状況を報告した。
トリントン基地も同じだった。
「分かった。
総司令部の命令通りα艦隊は、出港する」
 マーカー艦長は、決断した。
「艦長」
 ミハイル副艦長は、マーカー艦長を心配した。
「各艦に通達。
出れば必ず戦闘になるぞ。
気を引き締めるようにな」
 マーカー艦長は、ミハイル副艦長に命令した。
「了解」
 ミハイル副艦長は、敬礼した。

              ※

 明朝α艦隊各艦の機関に灯がついた。
「発進は、定刻通り。
各艦員は、最終チェックを急いで下さい。
砲術B班は、第三兵装バンクへ。
第二戦闘配備。
パイロットは、ブリーフィングルームへ集合して下さい」
 エルヴィン中尉が艦内放送を入れた。

              ※

 ミネルバの艦内廊下をシン中尉、ルナマリア少尉とレイ少尉が歩いていた。
「コロニー軍の降下作戦は、いつなんだ?」
 シン中尉がルナマリア少尉に質問した。
「知らないわよ私も。
しかしこれでオーブも正真正銘の味方になったわね。
けっこう好きだったから同盟締結は、うれしいな」
 ルナマリア少尉は、言った直後この同盟で再びコロニー軍の標的になるかもしれないと思った。
「ごめん。
シンには、辛いね」
 ルナマリア少尉は、すぐに謝った。
「別に」
 シン中尉は、気にしていなかった。
そこに警備に付き添われたカガリが正面から来た。
「こんな時にここで何してるんですか?」
 シン中尉は、カガリがここに来る理由が分からなかった。
しかしカガリは、何も言わなかった。
「同盟締結を悔やんでいるなら大きな間違いです」
 その言葉にカガリは、驚いた。
「あの時の地球軍と今の地球軍は、違いますから」
 シン中尉は、力強く力説した。
「でもサオトメの力は、強大だ」
 カガリは、シン中尉に忠告した。
「もし再びコロニー軍がオーブを灼くなら今度は、俺が護ってやります」
 シン中尉は、そういうと敬礼しその場を去った。
2人もカガリに敬礼しシン中尉の後について行った。

               ※

 α艦隊は、発進準備を進めていた。
「FCSコンタクト。
パワーバスオンライン。
ゲート開放」
 ミハイル副艦長の命令でゲートが下がった。
「前進微速。
α艦隊発進する」
 マーカー艦長が命令した。
「前進微速。
α艦隊発進」
 ミハイル副艦長が復唱しα艦隊は、発進した。

                ※

 カガリは、タリア艦長と少し話をしていた。
「この同盟が更なる友情を深めるきっかけになることを期待している」
 カガリは、タリア艦長に地球連合とオーブ連合首長国の新しい関係に期待していた。
「私は、この同盟で『友』から『家族』に変わることに期待しています」
 それは、タリア艦長も同じだった。
しかしそれは、一緒にコロニー軍を討つことではないだろうかとカガリは思った。
「こうして代表自ら挨拶に御出下さった御誠意は、忘れませんわ」
 タリア艦長は、カガリに感謝した。

                 ※

 リーンホースJr.のブリーフィングルームでは、サイジョウ元帥が書類をまとめカレン中尉がスポーツドリンクを呑んでいた。
サオトメは、1人静かに瞑想していた。

                 ※

 カガリは、暗く内閣府官邸の自室で座っていた。
「仕方ないよカガリ。
政治は、理想じゃない。
現実だ」
 ユウナが政治とは、どういうものか説いた。
しかしカガリは、無反応だった。
「君は、良く頑張った。
突然代表にと請われて国民も皆君のことが大好きだ」
 ユウナがカガリを鼓舞した。
「ユウナ」
 しかしこの行為こそカガリには、一番迷惑だった。
「だからもう楽におなり。
僕がいるよ。
君を支える。
夫として」
 その言葉にカガリは、驚いた。
「結婚式を急ごう。
君の為にも。
国民の為にも。
それが一番いい」
 ユウナは、結婚式を早期にあげようと考えていた。
「しかし」
 カガリは、反論しようとした。
「新しく生まれ変わるんだよ。
君も、オーブもね」
 ユウナは、新しいオーブの幕開けを見ていた。

                  ※

 大西洋連邦の首都であるワシントンでも1つの大きな動きがあった。
「はい、デュランダル大統領にアポイントを」
 アスラン中将が決断した。