世界最後の一日1
2×××年。
それは唐突にやってきた。
「地球は明日終わります。人民の皆さんは、今すぐにでも地球を脱してください。」
いつもの冷静さはなく、早口でアナウンサーが告げた。
さっきから何度も何度も。
外ではサイレンが鳴っている。
『緊急避難警告、大』
もう逃げ惑う人々の姿は見えなかった。何時間も前から避難を始めていたのだ。
そんな中、俺、イギリスは一人静寂の中紅茶を飲んでいた。
もう午後だ。アフタヌーン・ティーを決まった時間にたしなむのが、紳士ってもんだろ?
余裕な表情を装ってはいるが、心の中は荒れていた。
どうして俺らだけ。
死が決まっているのに、ここに留まる理由は?
分かっているはずなのに、そんな文句にも似た何かが胸の中で渦をまく。
そう、それは昨日の事だった。