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砂漠を越え、新天地に降り立った光子郎達は目前に聳え立つ山岳地帯を目指して足を進めていた。
それまでの道程はファイル島の『竜の目の湖』周辺に似た森林地帯だ。
木々の上から時折遊園地にある観覧車のようなものが見えたりもした。
遊園地に程近い位置に『テンプ湖』と呼ばれる湖があると、通りがかった親切なデジモンが教えてくれた。
自分達は山を目指していると言うと、彼は「気をつけて」の一言と笑顔を送ってくれた。

「デジモンにもいろいろな種がいるんですね。
「そうでんな。

これからテンプ湖に行くという親切なデジモンの後姿を見送りながら光子郎とテントモンは顔を見合わせた。

「…あの~光子郎はん。

テントモンが甲羅をがちゃりと鳴らして地面に着陸した。
向かい合っている光子郎はぱちりと一度瞬きを返す。

「何?
「今日はもうぎょうさん歩きましたさかい、この辺で休みまへんか?
「うーん……。

テントモンから目を離し目指す山頂を見上げる光子郎。
その後姿を眺めながら光子郎に気付かれないようにため息をつく。
小柄な上に華奢な体のどこにそんな体力が眠っているのだろうか?
昼間の内から、休憩を申し込んでも微笑みながら大丈夫ですと「ノー」の意味と取れる返しをされるばかりだった。
あの笑顔が相手ではテントモンが勝てるはずはなくバテバテになりまくった一日だった。
そして今、空は茜色。
これから山道を行くのは危険だ、その意味も含めて野宿をしたかった。
あそこにいるデジモンが全てさっきのような者達ばかりではないからだ、それは光子郎もわかりきっているはず。

「…。
「早い方がいいけど…、無理して体壊すのは本末転倒、か。
「光子郎はん?
「うん。今日はこの辺りで休みましょう。

この日、テントモンは初めて光子郎から「イエス」を聞いたような気がする。
その笑顔がえらく眩しく見えたとかどうとか。

「せや!ほんなら晩飯の用意せんと。わては食えるもん探してきます、光子郎はんはここいらで休めるとこ探しといてください。