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「はあ…。
「光子郎はん、明日も今日みたいに歩くんやったらはよ休むんやで。
「……。ああ、はいそうですね。

すっかり星空に移り変わったのに、テントモンはパートナーの様子を見て呆れる以上に悲しくなった。
火の小さくなった焚き火の前で膝の上にノートパソコンを広げいろいろいじくっている。
うまく繋がらないとわかっているのに何度も真っ暗なディスプレイとにらめっこ。
一度目で駄目なら次も駄目だと思うのだが。

「はよ、寝てくださいな。
「わかりました。

言っても聞かないのをわかっているから説得をせず不貞腐れるようにテントモンは眠りについた。



「ハラ減った…。

そこまでならただの寝言、だがある音が加わってしまうと、

ぐぅ~…

「あかんわ。

腹の虫がテントモンを睡眠からたたき起こした。
光子郎と二人になってからまともな食事、特に夕食にありつけていない。
元々大食いなテントモンは前から食事に満足していなかったのだが。
食欲より優先させるべき『パートナー』がいるからなのだ。

「でも応えるわぁ。

空いた腹を押さえながらひょこひょこと眠るパートナーに歩み寄った。
彼の幸せそうな寝顔を見れば多少空腹が紛れるかも、と思いついた。

「…、ほんま…キレイやなあ~。

光子郎の寝顔が、である。

「寝るなんて勿体無いくらいや。…それやと明日えらい疲れますがな。
「ぅ…んぅ……。
「!!

起こしてしまったと思ったがそうではないようだ。
すやすやと眠っていた光子郎の穏やかな寝顔が歪んでいく。
うなされているようにも見える。
口から漏れる声が痛々しい。

「…、ぅ…んんぅ…!
(何や?光子郎はん、どうしたんやろ?

赤茶色の前髪が額にぺたりと張り付いている。
見兼ねたテントモンが顔に滲んだ汗をそっと拭き取ってやった。
それでも光子郎の目は覚めない、表情も強張ったまま。
これはこれでテントモン自身、苦しかった。
でも、

(これでええんや…。このまんま、光子郎はんに気付かれん方がええんや…。せやないと

昼間、何度も見た光子郎の笑顔。

(光子郎はんが頑張ってた意味がなくなってまう……。

…光子郎はん、わて、うっすらやけど気付いてましたで。
…だってな、
…あんなに、笑てる光子郎はんは…失礼やけど、見たことありまへんでしたで。
…だからちらちら思うようになったんや。

…光子郎はん、わてに気付かれんように、辛いこと隠しとるんやないかって。

…みんなと別れてから、いやに笑うようになったっけ。
…それまでは抑えられてたなんかが、限界やったんでっか?
…辛いことがあったら、何でも言うてくださいよ…。
…わて、光子郎はんの役に立ちたい…。
…敵と戦う為やのうて、それだけやのうて光子郎はんの為になりたい…。
…光子郎はん…、

…いつでも、わてがおりまっせ…、

…せやから何でもしまい込まんで話してぇな…。