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一年は組の席替え ノ段

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ある忍術学園の放課後のこと。
一年は組のよい子達はこの時間になっても外で遊べず、教室の長机に着席していた。

「あ~あ、何でクラスみんなで補習授業なの~?
「そうだよ。おれ達なんか昨日もおとといも補習授業受けたもんな。
「最近テストもしなかったし、授業もできてたのに、何で~?

乱太郎・きり丸・しんべヱの三人組が早速ぶーぶー言っている。

「もしかしたらまた学園長先生の突然の思いつきかも?
「えー!大迷惑だよ!
「ぼく達ばっかり標的にするの、やめてほしいよ。

庄左ヱ門の予想を聞いて伊助と三治郎がむすっとむくれた。

「たまには、一年い組とか一年ろ組も巻き込まれてもいいと思う。
「い組はともかく、昔はろ組も教科書進むのが遅いクラスだったはずだし。
「そうそう。でも斜堂先生にあんなことしちゃったら、たった一日で追い越されたよね。

庄左ヱ門達の後ろの席…金吾・虎若・団蔵がしゃべりだす。

「斜堂先生は潔癖症で暗くて幸薄い印象だけど、教育には熱心だし委員会の顧問としてはかなりしっかりしてらっしゃるんだよ。
「へー。委員会でしっかりしてるなんて意外だねー。

兵太夫がろ組の担任であり彼の所属する作法委員会の顧問である斜堂の話題を広い、その隣で喜三太が陽気に話し出した。
そして教室中よい子のおしゃべりでいっぱいになった。

「こら!補習授業をするのにお前ら楽しそうにおしゃべりしてるんじゃない!
「「「「「土井せんせー。

叱り口調で担任の土井が入ってきた。
よい子達はぱったりとおしゃべりを止めて、今まで楽しそうだった表情を不満顔に変えた。

「先生。今日は何の補習授業なんですか?
「ぼく達連日で補習授業っすよ。
「乱太郎、きり丸。昨日までお前達三人が受けていた補習授業は前学期の授業の補習だ。
「では今日は…。

庄左ヱ門が手を挙げながら聞くと、土井は手に持っていた紙を広げて、

「前学期の期末テストの補習!だ!!
「「「「「うっひょーーー!

目に涙を浮かべながら顔を大きくした担任の怒号に十一人はひっくり返った。
土井は持っていた紙…は組の成績表を指しながら続けた。

「三人の補習授業が長引いて今日になってしまったのだ!一番点数の良かった庄左ヱ門が五十点以上取っているのに、クラスの平均点(整数部分)が一桁とはどういうことなんだー!
「ま…また目の検査だったということではないんですか……?

ごちん!

「素直に返事するな!反省せぇい!
「きりちゃん、余計なことを。
「だから今日はクラス全員で補習授業だ!
「先生。庄左ヱ門は五十点以上取ったのであれば補習受けなくてもいいのではないですかー?
「ぼくも同感です。

庄左ヱ門の隣に座っている伊助の質問に、他のクラスメイトもそうだそうだと口を揃えた。

「確かにそうだが。庄左ヱ門、お前だけ部屋に帰っていい、と言ったら?
「う~ん、ぼく一人で放課後遊んでもつまらないからみんなと授業受けたいです。
「と言うと思ったのでクラス全員と連絡したのだ。
「「「「「しょーざえもーん…!
「みんな…くるしいよ…。

クラスメイト全員が庄左ヱ門に抱き付いた、中には泣いている者もいる。
平均点は下げまくってもクラス想いの学級委員長に対する気持ちは百点満点のクラスメイト達に庄左ヱ門は困ったような笑顔を見せていた。
作品名:一年は組の席替え ノ段 作家名:KeI