一年は組の席替え ノ段
「今日の補習授業は、特別に実践を織り交ぜながら行うぞ。
「実戦?
「実践だ。教室で教科書を見ながらではなく、体を使って勉強するんだ。
「実践で教科の勉強ってどういうこと?
どよどよまたおしゃべりが始まるが、土井は構わずチョークを取った。
「そこで本日の補習授業では…。
きーきーチョークを鳴らしながら黒板にある言葉を書いた。
それは…、
「席替えを行う。
でーん!
補習授業とはあまり結び付かない学校行事(?)なのでは組は全員ずっこけた。
最初に起き上がった乱太郎が手を挙げて尋ねた。
「せんせー。何で席替えなんですかー?
「勉強する環境を変えたら、ひょっとしたら成績が良くなるかもしれないと思ってなー。ま、たまには別の忍たまと並んで勉強するのもいい刺激になるぞ。
「なんかテキトーっすね。
「だったらぼく、庄左ヱ門の隣がいいなー。
誰かが言うと、再びは組は異口同音状態になった。
勉強ができる学級委員長の隣は一番人気なのは確実だった。
現在彼の両隣にいる伊助・三治郎も譲る気はない。
「こらこら、話は最後まで聞きなさい。席はクジで決めるから好きな人と隣になれるかわからないぞ。
「「「「「えぇー。
盛り上がっていたよい子達は不満たらたらだが、これは補習授業なので席替えはその特典として受け入れるしかなかった。
「まあ、もしかしたら庄左ヱ門の隣になれるかもしれないんだしー。
「がんばろっか。
「…別にぼく、隣に座ってるからって伊助達に勉強教えたりすること、そんなしてないよね?
「庄左ヱ門。みんな好きな人の隣に行きたくなるものだよ?
「…?ふーん、そっか。
「あー、庄ちゃんたら相変わらず…。
「鈍感ね。
団蔵達が庄左ヱ門の隣を狙う中、当の学級委員長はなぜ自分の隣が狙われているのか理解できず、その天然ぶりに三治郎と伊助がツッコミを入れた。
「では今から各机に用紙を配るぞ。その後課題について説明するからな。
「用紙って…これは…?
「なんか手紙みたいですけど。
配られた紙は折り畳まれ、まるで誰かに宛てた手紙のようだった。
上がった疑問の声に答えるように土井が説明を始めた。
「その紙には忍術に関する問題が書いてある。問題の答えはこの忍術学園の人や物、場所を示すものだ。問題を解いていくと最後に席替えに必要なクジなどが手に入る。それをこのは組の教室に持ち帰ればとりあえず合格だ。そしてこの課題は班ごとに行い、班分けは今同じ机に座っている忍たま同士。他の班の忍たまと問題を考えるのは禁止だ。それからこれは授業の一環なので、先生方はもちろん上級生や他のクラスの忍たまに答えを聞くのも禁止。教科書は一度だけ見ることを許可する。以上がこの補習授業のルールだ、わかったか?
わかりませーん!
「あ゛ー!もー!!
「つまり!
「おお、庄左ヱ門。
長い説明に追い付けないは組の返事に癇癪を起しそうな担任だったが、やはり頼れる学級委員長の庄左ヱ門が声を上げた。
「この紙に書かれた問題を机ごとに分かれた四班が自分達の力だけで解いて、席替えのクジを手に入れた班から教室に戻って席替えが始められる、ということですか?
「まあそんなところだな。今の庄左ヱ門の説明でわかったか?
だいたいわかりましたー!
「はぁー…、庄左ヱ門がいると先生も助かる…。(まあ席替えは全員揃わないとできないのだが。
こうして一年は組の補習授業が始まった。
作品名:一年は組の席替え ノ段 作家名:KeI