一年は組の席替え ノ段
担任の言葉に誰かが尋ねた。
「まさか、って土井先生。何か心当たりがあるんですか?
と言った矢先、
「た、ただいま…。
「戻ったよ…。
「伊助!三治郎!庄左ヱ門!
ぼろぼろになった庄左ヱ門達が教室に入って来るなりばったりと倒れた。
「うわー!どうしたの、三人とも?
「実は…。
なんとか顔を上げた伊助が途切れ途切れ話し出した。
「ぼく達の班は、一回も忍たまの友を見ないで、問題を解いていったんだ…。庄左ヱ門は問題を見ただけで答えがわかってたみたいで、庄左ヱ門が出したヒントをぼくと三治郎が解いていたんだ…。
「それで…、
次に話すのは三治郎。
「歌に隠された忍者文字を解読して、その答えが、会計委員長で、ぼく達は六年い組の潮江文次郎会計委員会委員長の部屋に行ったら…。
そこまで話したところで、土井の大きなため息が割り込んだ。
ようやく庄左ヱ門が体を起こして事の顛末を説明した。
「それが最後の問題だったんだけど、潮江先輩から今まで解いた問題を聞かれたので、それを答えたら先輩が『これで終わりでは全く!鍛錬にならーん!』と仰って、崖登りの訓練場まで全力疾走させられて、『土井先生から預かった紙はこの崖の上に置いてある!どんな登器、道具を使っても構わん。崖を登り切り、紙を手に入れることができれば合格だぁ!』って…。
「ひぇー。長屋からあんなに遠い崖登りの訓練場まで走って、そのまま崖登りぃ!?
「あぁ…あれほど課題が正解なら素直にくじを渡せと言っておいたのに…。
は組がそろってぼろぼろの三人の話を聞く中、土井は額を押さえて更に大きなため息をついた。
何度も崖から転げ落ちてぼろぼろになり、なんとか崖の上のくじを手に入れた時にはすっかり空は茜色になっていた。
「みんな、席替えするの…遅くなってごめんね。
「そうだ、席替えだ!
「すっかり忘れてた。
「先生。
「うーん。庄左ヱ門達を休ませてからやりたいが、早くしないと夕食になってしまうしなあ。
最後のくじを受け取り四班分のそれをまとめた土井は周りに集まった乱太郎達を困り顔で見渡した。
「先生、ぼく達に構わず…、
「席替えを始めてくださーい…。
「すまないな三人とも。よおーし、それでは席替えをするぞー!
「「「「はーい。
…だが、アミダくじを完成させ、は組のよい子達が思い思いにアミダのアミを書き加えた結果、
「て、この席は…。
「いつもの席の並びとおんなじだー!
なんということでしょう、今の席と並び順まで全く同じになるという、ある意味お約束な展開に。
「結局…、
「普通の…、
「補習授業だったってわけね…。
乱太郎としんべヱ、きり丸の声には組全員がずっこけて彼らの補習授業と放課後が終わったのであった。
「団蔵…。今回の件で、会計委員会の大変さが、わかったよ。
「…おれは、庄左ヱ門達が会計委員会の大変さがわかってくれただけ、今回の補習は意味があったと思うなぁ。
「あれ、会計委員会の活動とは関係ないでしょ?
おしまい
作品名:一年は組の席替え ノ段 作家名:KeI