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同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語

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 そこでふと、那美恵は聞きたかったことを思い出した。
「そうだ!提督。聞きたいことあったんだ。あたしからもいーい?」
「あぁいいよ。」
 提督は横にいる那珂のほうを向いて返事をした。
 那美恵が尋ねたのは、自身の学校で同調のチェックをさせてもらえないかいう内容であった。発案者は三戸だったので那美恵は彼にまずは言わせ、それに補足する形で口を挟んだ。

「なるほど。学校に機材を運んで、学校で同調のチェックをさせたいと。」
「そうなの。あたし含めて、艦娘になりたいって人は、普通は工廠で艤装を試着して同調をチェックするでしょ?でもそれだと、多くの人に鎮守府に足を運んでもらわないといけないし、フィーリングが合うのはその中でも一握りだとするとさ、学生艦娘を目指すんだったらかなり無駄が多いと思うの。もし艤装を鎮守府外に運び出せて、試験の時と同じように外でも同調チェックができるなら、学校にいながらより多くの人に適性がある・フィーリングが合うかどうかを手軽に試してもらえるでしょ?」

 那美恵の説明を聞いたのち、腕を組んで考えこむ提督。
「うーん。そのあたりの規程は大本営から特に言われてない点だなぁ。普通に考えたら艤装はモロに軍事機密に触れそうな物だろうし、持ち出しは出来ない気がするが……。すまん。今それに回答することはできないな。あとで大本営に聞いてから回答するよ。那珂に連絡すればいいかな?」
「あたしとみっちゃんに教えて。」

 提督から艤装持ち出しについて大本営に聞いてもらうことにした。那珂は三千花に目配せし、連絡先を提督と秘書艦の五月雨に伝えた。
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 そして見学は全工程が終わり、提督から締めの言葉が出された。
「それでは○○高校のみなさん、お疲れ様でした。これで見学会を終わりたいと思います。小さい敷地とはいえ、設備もそれなりにあるのでお疲れでしょう。これは俺からの気持ちです。飲み物を買っておいたので、よろしければ持って行って下さい。」
 そう言って提督は数本の缶やペットボトルの飲み物を袋から出して見せた。那美恵たち4人分には多すぎる本数だ。

「あの、提督。多くありませんか?」
 五月雨がそう尋ねると提督は答えた。
「五月雨、君たちの分もだよ。あとは……時雨と夕立が帰ってくれば渡せるんだけど、まだ護衛任務はかかりそうだし、あとで渡しておいてくれるかな?」
「提督……!ありがとうございます!わかりました。」

「提督ぅ〜良い人だなぁ〜惚れてまうやろー!」
「今頃気づいたか!?もっと褒めてくれてもいいぞ〜」
 普段のノリで那美恵が冗談めかして提督を立てつつ言うと、提督もそのノリにノッて返してきた。その掛け合いをみて隣にいた五月雨はクスッと笑う。三千花らも釣られて微笑んで反応し、その場は和やかな雰囲気に包まれ、見学会の最後を彩った。


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 時間にして午後4時すぎ。三千花らは帰ることにした。ロビーまで全員で歩きつつ会話をしあう。
「なみえ、あなた今日は艦娘の仕事はないの?」
「んー?出撃もないはずだし、みんなといっしょに帰れるよ。」

 那美恵のごく簡単な説明に、提督が付け足す。
「那珂には出撃も頼みたいことも特にないから、本当に帰ってもいいぞ。せっかく学校のみんなと来てるんだからね。もし頼みたいことあってもここにいる五月雨にガツンと頼んじゃうから、どのみち安心して帰ってもらえるよ。」
 提督は言葉の途中で五月雨の肩に手を置いて彼女に少しだけ意地悪なことを言った。
「提督〜それじゃ私がもっと忙しくなるんですけど〜!?」
 またしても不意に標的になった五月雨は少し半泣きになりつつ、提督の腕を押して愚痴もぶつけた。

 結局那美恵も三千花らと一緒に帰ることにした。その日その時間、鎮守府には提督と五月雨、村雨が残り、時雨と夕立の帰還を待つことになった。那美恵は艦娘の制服をきちんと洗うために一旦更衣室に戻って制服を取り出し、再び三千花らと合流して鎮守府を後にした。