同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語
--- 3 見学(本館)
まずは本館の見学ということで、提督は今全員がいるロビーから開始してすぐに2階へ三千花たちを案内した。各部屋を案内してその役割を解説する。いくつか部屋が紹介される間、書記の二人は解説をメモしたりデジカメで撮影している。副会長の三千花は那珂と会話をはさんで各部屋を熱心に見ている。
一般的に雑誌等で紹介される、艦娘と彼女らの勤務する華やかな鎮守府と称される基地はかなり目立つ大きなところである。それに比べて鎮守府Aはぱっと見それなりの広さなのだが、全国・全世界の鎮守府(基地)としてみると小規模だ。人数に見合ったといえば聞こえはいいが、それでも不釣り合いな感じは否めない。三千花らの第一印象は意外と"しょぼい"だった。本館自体は工事中の部分が多く、使える部屋が少ない。が、それでも使える部屋の中でも空き部屋が多いことに気づいた三千花は提督に尋ねてみた。
「あの、ずいぶん空き部屋がありますね。」
「そうですね。まだ人も少ないから使い切れていないのが現状なんです。用途は考えているので、もっと艦娘や職員が増えたら活用できるんだけどね。」
提督は三千花からの質問に現状を自ら笑ってけなすような口調で説明し、展望を述べた。
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2階を案内したら次は3階へ。3階は提督が執務をする執務室と、隣接する部屋、そしていくつかの部屋がある。そのうち一つは艦娘たちの待機部屋、座席のある部屋だ。そこにはさきほど別れた時雨と夕立が出撃前に一息ついていた。提督と那珂の一行に気づく時雨と夕立は座りながら手を振ったりお辞儀をした。
提督が入り口付近でその部屋の紹介をしていると、夕立がスクっと立ち上がり、提督の側に駆け寄ってきて補足説明をした。
「あたし達の学校は艦娘部の部室がないから、実質ここが部室みたいなもんなんだよ!広々〜っと使えるっぽいし、お気に入り〜!」
「こら、夕。僕らの学校以外の子も一応いるんだから恥ずかしくないようにしてよね。」
はしゃぐ夕立を時雨が注意する。その様子を見て提督はハハッと笑い、三千花らに冗談めかして一言付け足した。
「まあ、このように自由に使ってもらっています。学校の延長線上と捉えてもらっていいかもしれません。」
「学生以外の艦娘はいらっしゃるんですか?」
三千花が質問をした。
「あぁ。あとで紹介するけど工廠というところに一人、それから今日は来てないけどもう一人。その人は近所に住むご婦人でね、俺や五月雨・時雨たちが不在の時によく代わってもらっているんです。」
来てない人のことを細かく言う気はない提督はそれ以上の紹介はせず、艦娘の待機室の案内を終えて次へと促した。
作品名:同調率99%の少女(5) - 鎮守府Aの物語 作家名:lumis