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Rain stops

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 士郎が消えた朝と同じ、青い空と澄んだ空気。
「アーチャーが泣かないように、士郎が祈ってくれていたの?」
 衛宮邸の庭で深呼吸をして、陸は早朝の空気を肺に入れた。夜明けまで雨が降っていたからか、少し湿り気がある。
「おれは呪いだって言ったけど、違ったんだね。あれは、士郎の願いだったんだね……」
 快晴の空を見上げて、少し涙が滲んだ。
「おれは、こっちの空の方が好きだよ! 士郎のこと、思い出せるから!」
 初夏の爽やかな空気を吸い込んで、陸の一日がはじまる。
「おれに、この色とりどりの世界をくれて、ありがとう。この愛おしい世界に気づかせてくれた二人に、おれはいつも感謝してるよ」
 太陽に掌をかざして、眩しさに目を細める。笑い合う二人の光景が見えた気がした。
 陸が士郎とアーチャーと三人で過ごした日々はたったの一年だった。
 それでも陸にとってその日々は、何にも代えがたいものだった。
「士郎は、アーチャーが宝物だって言ってたよね。おれには、あの日々が、宝物だよ……」
 空を見上げて、伸びをして、
「ちゃんと前を向いて歩いて行くからさ、笑って見ててよ、二人とも!」
 陸は笑って、青い空に誓った。


Rain stops 了(2015/11/26初出・2015/12/14、2016/10/10加筆修正)
作品名:Rain stops 作家名:さやけ