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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 25

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「ずいぶんと用意周到だな、アネモス族というのは。『イマジン』を使っても尚惑わされるとはな。イワン、他に神殿の中に通じる道はないのか?」
 ガルシアは訊ねた。
「ええ、探ってみます」
 イワンは展開したエナジーを縮小させ、アネモス神殿の真の入口を見つけ出すべく『イマジン』の精度を上げる。
 イワンの視界に映るアネモス神殿はやはり、入口らしきものは正面の偽の門扉を除いて他にない。
 となれば、地下から内部に入り込める隠し穴のようなものがあるのか。イワンは考え、一度アネモス神殿に背を向ける。
 するとイワンの視界に、アネモス族が遺したと言われる地上絵が入った。
 地上絵は二つある。一つは、ガルシア達の船に翼が付く予言を表した翼のある船の絵。もう一つは、翼を開帳した鳥の絵であった。
ーーあれは……?ーー
 イワンが不審に思い、歩み寄ったのは鳥の絵の方である。
「おい、イワン。そっちにゃ神殿はないぞ、いつまでよそ見してるつもりだ?」
 神殿に背を向けたまま、全く振り返る様子のないイワンにしびれを切らし、ジェラルドが言った。
「もう少し待たれよ、ジェラルド殿。イワン殿には何か考えがあるのだろう」
 ユピターが諭した。
 この二人の会話も耳に入っていないのか、イワンは集中して地上絵を探っていた。
 地べたに這いつくばり、地面を舐めるような距離で、イワンは丹念に何かを調べ続けている。
「……ちょっと、本当に大丈夫? 恐怖で気でも触れたんじゃないでしょうね」
 メガエラは横目でイワンを見ていた。
 メガエラの言う通り、傍目から見ればイワンの行動は異常であった。地面に手をつけては、ここじゃない、ここも違う、とイワンはぶつぶつと呟いていた。
 終始イワンの行動を黙視し続けていたガルシアも心配になり、彼に声をかけようとしたその時だった。
「見つけました!」
 突然叫んだかと思うと、イワンは地面に向かってエナジーを放った。
 鳥の地上絵の尾羽の部分、右から数えて四番目の先端付近から、イワンのエナジーに反応するようにエナジーの柱が立った。そしてそれは光輝く扉の姿となる。
「イワン、これは……!?」
 驚く一同を代表するようにガルシアが訊ねた。するとイワンは得意気な笑みを向ける。
「これがアネモス神殿の本当の入口ですよ、ガルシア」
 紫の輝きが、間欠泉のごとく噴き上がったこの光こそが入口だとイワンは言う。
「イワン、説明してくれないか? この光はもちろん、君が一体今まで何をしていたのか」
「そうですよね、ガルシア。いきなり言われても信じられませんよね。順を追って説明しましょう」
 イワンは一つ咳払いをしてから話し始めた。
 イワンは『イマジン』を使いながらアネモス神殿の入口を探っていた。じっくりと抜けのないように探していたが、ついに神殿そのものからは、それらしいものは見つけられなかった。
「そこでボクは視点を変えることにしました。闇雲に探すのではなく、周囲にあるものに目を向けたんです。まさか、最初に見たときから怪しいと思ってたものが当たりで驚きましたけどね」
 イワンが怪しんだもの、それは神殿の前に描かれた地上絵であった。
 翼の付いた船の地上絵は、アネモス族が遠い未来にこのような船が完成する、と予言したものということは周知であったが、鳥の地上絵は謎が色濃く残っていた。
 船の地上絵のように、何かを予言するものでもなければ、単なる芸術の一種でもない。
 意味深な存在の地上絵は、当然ながら特別な代物であった。
 鳥の地上絵からは、非常に微弱ではあるがエナジーが放出されていた。
 低周波や高周波の、人間の可聴領域の外の音が、人の耳では絶対に感知できないように、そのエナジーは、エナジストの中でも特殊な、よほどエナジーに敏感な者、そしてアネモス族に近い存在であるイワンにしか感受することはできなかった。
 イワンはごく僅かなエナジーを地上絵から感じ取り、そしてその出所を探っていたのだった。
「ボクは微弱なエナジーが出ている場所を見つけ出し、そこへエナジーを打ち込みました。アネモスの力『テレポート』を」
「『テレポート』だって!? しかし、あれはイワンを含め、君に触れるものにしか効果がないのでは?」
「普通に使えばガルシアの言う通りです。ですが、ボクのエナジーに反応したアネモスの力はその力を解放し、空間と空間を結んだのです。そしてこの先に続く空間は、アネモス神殿の内部です」
 イワンは全てを話した。
「ふん、何にせよ、この光に飛び込めば神殿の奥に行けるってわけね。ならさっさと行くわよ」
 メガエラは先陣を切って、光る地上絵の上の扉を開いた。メガエラはアネモスのエナジーに包まれ、『テレポート』を使った時のように消えていく。
「やれやれ……、つくづくせっかちやなぁ、メガエラさんは……」
 アズールはため息を付く。
「まあでも、いつまでもここで立往生しとるわけにもいかんな、急ごか」
「待て、アズール殿、行き先はデュラハンの本拠地、散らばるのは危険だ。共に行こう」
 アズールとユピターも空間から消えていった。
「ガルシア、ボクらも行きましょう」
「そうだぜ、ガルシア。メガエラ達に続くぜ!」
「……行きましょう、僕達に立ち止まっている時間はありませんよ」
「イリスを助けるんだ、行くぜ」
「きっとシバも不安でいることでしょう……」
「私、デュラハンを絶対に許さない、許せない……行きましょう、兄さん」
 イワン、ジェラルド、ピカード、メアリィ、シンそしてジャスミンはガルシアの指示を待っていた。
「そうだな……」
 ガルシアは進撃の宣言をする。
「世界の脅威にして仲間を捕らえ、そしてロビンを殺した仇敵、デュラハンを討つ、行くぞ!」
「おおっ!」
 皆の心が一つになった時、ガルシア達は親友の仇を討ち、そして世界を恐怖から救うべく、アネモス神殿へと突入して行った。
    ※※※
 アネモス神殿の真の扉を開き、先行したメガエラ達を追ってガルシア達も神殿の内部にやって来た。
 神殿に入ってすぐの場所は、祭祀場のような所であり、斜め四方向に樹木、火炎、波そして雲の絵が描かれたサークルがあった。
 神殿に入ってすぐにメガエラ達と合流することができた。彼女らは、なにやら足止めをくらっている様子だった。
「ふん、逃げずにあなた達も来たのね……」
 もともと無愛想な性分のメガエラであるが、今の彼女はいつにも増して不機嫌であった。
「一体どうしたのだ?」
 不機嫌なメガエラを刺激しないよう、ガルシアはアズールに訊ねる。
「ああ、これや……」
 アズールは指をさす。その先には更に扉があった。
「この扉、押しても引いてもびくともせんのや。どうにもまた、おかしな力が働いてるみたいやな」
 アズールの言う扉は一見、なんの変鉄もない扉である。単純に鍵がかかっているわけでもなければ、何か特別なエナジーが効いているようでもない。
「まさか、ここも行き止まりなんでしょうか?」
 ピカードは言う。
「いえ、それはあり得ませんよ」
 イワンが断言した。そして扉を観察する。